関節リウマチ治療の最前線は、今年の5月からの新しい生物学的製剤の登場によってますます熱くなっているわけです。
これだけ、毎年毎年新しい検査や治療薬が次から次へと登場する分野は、医学界広しといえどもそうあるもんじゃありません。自分たちのようリウマチを専門にしていますと名乗っている医者にとっては遅れないようにするだけでも大変。
生物学的製剤はその高い病気の抑制効果から「特効薬」的な存在として、今やリウマチ治療の中心になりつつあります。しかし、何と言ってもまだまだ製剤の値段が高いこと(月に4万円程度自己負担がかかります)から、なかなか誰にでも使うわけにはいきません。
さらに、日本で使用され始めてやっと5年間ほどですから、効果や使い方については一定の評価がされた段階で、まだまだわからないことは山ほどあるわけです。
一番、気になるのは高い薬ですから、いつまで使えばいいのかということ。あるいは、中止した後の再開についてのノウハウなど。あれも知りたい、これもわからない、という状態であることは間違いありません。
そんな中で、今年新たに発売されたのは、ヒュミラ(エーザイ製薬)とアクテムラ(中外製薬)。
ヒュミラは、元祖である点滴で行う田辺三菱製薬のレミケードの皮下注射版という感じで、より簡易な使用法に期待が集まっていましたが、薬を無効化してしまう中和抗体というものが発生が多いようです。
アクテムラは、TNF-αというものをターゲットにしたレミケードやヒュミラ、あるいはエンブレル(ワイス製薬)と違い、インターロイキン6というものがターゲットなので、他の製剤に無効の人でも効果が期待できるわけですが、白血球減少という副作用がやや目立っているようで、いずれも治験の段階では指摘されていなかった問題が出てきているようです。
もちろん、まだ製薬会社からの正式の文書としての発表がされているわけではありませんが、簡単に新薬に飛びつくことの危険というものを、いつでも考えておかなければならないということです。
ただ、エンブレル、ヒュミラ、アクテムラについては副作用などの有害事象については、それぞれのホームページで公開しており、一般の方でも詳細な情報がわかるようになっています。副作用の危険な薬ですから、きちんと情報をあらかじめ公開していることは、大変評価されるべきことと考えます。