なんか、おばさま風のこちらの写真、アリシア・デ・ラローチャです。スペインのバルセロナに生まれ、スペインのアルベニス、グラナドス、ファリャといった作曲家のピアノ曲を演奏し、世界中にその実力を示しました。
日本でも何度もリサイタルを開きました。もう引退してしまいましたが、それまでは「ピアノの女王」の称号で呼ばれていました。現在85歳。なにしろ身長が150cm無いそうで、当然手もそんなに大きいはずがありません。
もちろんスペイン曲の演奏も素晴らしいのですが、あえてここで聞きたいのがモーツァルトのピアノ・ソナタ全集。1989年から1991年にRCAに録音したものです。
モーツァルトのモノフォニックな明るいメロディラインをクリアにつないでいく演奏は、爽快としか言いようがありません。しかも、録音はデジタルで音のつぶだちをさらに際だたせています。
この全集CD5枚がわずか2000円ちょっとで手に入るなんて、何て贅沢な話でしょう。いつも利用しているHMVのクラシックの中でも定番のボックス・セットの一つに数えられています。
モーツァルトのソナタ集は、当然演奏者が多く、どれを購入するか大変悩むところです。同じ女流ピアニストならリリー・リラウスの演奏も定番とされていますが、全体にやや甘みが強調されているような演奏だと思います。 もちろん、内田光子の演奏もすでにモーツァルトの定番に数えられるようになっています。
評論家にはめっぽう評判が悪いグレン・グールトの演奏も、既成概念を打ち破る楽しさがあります。近年ではフリードリヒ・グルダの演奏が発掘され話題になりました。
ラローチャの演奏は、そんな群雄割拠のモーツァルトの中で間違いなく飛び抜けた存在と言えるでしょう。