アメリカの俳優、ポール・ニューマンさんが亡くなりました。83歳だそうです。少し前に危篤状態というニュースが報じられていたので、びっくりはしませんでした。
ただ、また一つ自分のテリトリーが削られてしまったような気持ちになります。アメリカ人だったら、石原裕次郎や美空ひばりが亡くなったことに匹敵するのではないでしょうか。
もちろん人気のきっかけとなった「ハスラー(1961)」や「明日に向かって撃て(1968)」は後から見たので、リアルタイムで楽しんだのは「スティング(1973)」、「タワーリング・インフェルノ(1974)」といった70年代のものが中心です。
80年代の「アパッチ砦ブロンクス(1981)」、「評決(1982)」がいかにも現役として活躍した最後の方の作品になるんでしょうね。
1986年に「ハスラー2」でアカデミー主演男優賞をとりましたが、多少名誉賞的なところがあるように思います。その後は、やや助演作品的なものが多くなりました。
ロバート・レッドフォードのように甘いマスクを持つわけではなく、男は黙ってクリント・イーストウッドのような寡黙さがあるわけでもない、スティーブ・マックィーンのように早死にもしなかった、なんとなく無骨なおじさんという印象です。
あえて、一番印象深いものというと、実はあまり注目はされていないと思いますが、1977年の「スラップ・ショット」をあげたいと思います。田舎町の弱小プロ・アイスホッケー・チームの話。解散の危機にラフ・プレイをして人気を復活させていくが・・・という話。
今でこそ、日本でもキムタクの「Pride」なんかがあったのでだいぶなじんできたスポーツですが、当時は国土くらいしかチームは知らず、超マイナースポーツだったアイスホッケー。この映画のおかげでけっこう興味が持てました。
監督はジョージ・ロイ・ヒルでニューマンとは長年の盟友です。いわゆるアメリカン・ニューシネマを作り上げた人。いかにも手作りの職人さんという感じでいい映画が多いですよね。
「スラップ・ショット」と同じ年に「スター・ウォーズ」が公開され、アメリカ映画は人間ドラマよりもファンタジー、主役も特撮へと様変わりしていったことがニューマンらの活躍の場を減らしたのかもしれません。
でも、自分にとっては、これが映画だ、という感じでずいぶんと楽しませていただきました。