2009年3月1日日曜日

病気なの?

メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準は、腹囲が男性85センチ以上、女性で90センチ以上あることを必須条件としているのに対し、単に腹囲が大きいだけでは生活習慣病の危険要因としては不十分という調査結果を、下方浩史・国立長寿医療センター(愛知県大府市)研究所部長を班長とする厚生労働省研究班がまとめた。~読売新聞(3/1)

これは2000年に腹囲の異常を認めた人約3000人を6年間追跡調査して、病気が発生する程度を調べた結果だそうです。過去にさかのぼって調べる調査方法に比べて、このような前向きの調査は信頼性が高いと言われています。

今回の報告だけでメタボリック症候群という考え方を否定することはできませんが、もともと腹囲だけで病気がどうか判断することには、いろいろな問題が指摘されています。

しかし、厚生労働省はこれまで行っていた誕生月の一般的な項目についての無料検診を中止して、今年度からメタボリック症候群のみに特化した特定健診制度をスタートさせました。

これによって、保険組合の負担増加による破綻の問題が生じたり、高齢者の一般的な病気の検診は有料化されたりして大きな波紋を投げかけているのです。医療機関への強制的な負担増となる実施方法も問題で、とても対応できないので行わないとする医療機関も少なくありません。

メタボリック症候群は将来的ないろいろな病気の始まりであり、それを予防することで医療費の抑制効果を狙うという発想は悪くないのですが、もともと病気の予防には保険医療を適用しないという立場をとり続ける厚生労働省ですから、すべてが中途半端と言わざるを得ません。

一部の医者と行政が作り上げ、マスコミがはやし立てて、新しい病気を作り上げたのでなければいいのですが。今からでも遅くありませんから、冷静に議論をして、何が本当に大切なのかを考えるべきなのかもしれません。