2009年3月7日土曜日

優秀なコンサルタント

いや~、本当にいい時代になりました。だって、そうでしょう。クリニックを開業しようかと思ったら、医者の書いたブログを徹底的に読み込んで、しっかり内容を理解すれば基礎的な知識は足りてしまうんですよ。

診療実日数患者単価受療率診療圏などという医療施設を経営する上で欠くべからず言葉は、都筑区医者ブロガーが解説しています。

こりゃ、はっきり言って高いだけの開業コンサルタントよりも、よっぽど実があるんじゃないでしょうか。開業コンサルタントというのはピンからキリまでありますから、下手なのに当たったら大変です。

自分の場合は、多少のトラブルはありましたが(詳しくは開業物語をご覧ください)、比較的まともなコンサルタントに当たったと思います。しかし、どんな優秀なコンサルタントでも、地元でないかぎりは、その土地の特異性を熟知しているはずもない。

全国平均のようなデータはいくらでも持っていますが、そのままそれが当てはまるほど甘くはありません。特に都筑区のように人口の平均年齢が40歳以下という、きわめて特殊な地域ではかなり地域に特化した分析が必要だということです。

これは自分の経験からも大変苦い思いをしましたし、3年経ってもけっして楽になったと実感できるような状況ではありませんので、これから開業と思っている方は、肝に銘じてもらいたいところです。

開業医は近くの医療機関はライバルでありますが、同時に仲間です。特に科が違えば、クリニックの不足しているところを互いに補う連携を重視しないと生き残れません。

医師会は金がかかるし、めんどうな仕事が回ってくると考える方は多いわけで、昔と違って医師会に入会しなくても十分にやっていけるというのは事実です。

しかし、医師会に入る最大のメリットは、このような診診連携に不可欠な顔の見える付き合いをもっとも簡単に可能にしてくれるということではないでしょうか。

医師会の雑用の大多数は、地域医療に密接な公共的な仕事です。自分さえよければ的な発想では、「地域に密着」した医療はとうていできるはずがないのです。

大病院志向は一時に比べれば少なくなったと思いますが、そのかわり開業医には広い知識に基づいた「かかりつけ医」、あるいは「総合診療科」という役目と、まったく逆の「専門性」への期待が高まったと言えます。この点は、両立させることは大変難しい。

Dr.Mの場合は、ある意味そのモデル・ケースといえるかもしれません。駅からは比較的離れていて、まさに徒歩圏内の患者さんに対しては科に関係なく「かかりつけ医」としての機能を提供しています。

そして、自分の専門性、またはやりたいこととしての美容関係の診療を取り入れることで、仕事に対するモチベーションを維持していくやり方は理想的です。もちろん、これは大変なことで、ブログにもいろいろな苦労の片鱗がにじみ出ています。

自分の場合やDr.Flickerの場合は、比較的専門性を打ち出しているものの、ある程度全般的な部分での診療を行っているといえるでしよう。専門性の維持のために大学病院の仕事も続けるということところで、クリニックの充実を図っています。

あざみ野棒屋先生の場合は、もともと専門領域の名医として知名度が高く、遠方からの患者さんもすくなくありません。むしろ、超専門家の部分からしだいにインフラを埋めているような体制なのかもしれません。

それぞれのスタイルはいろいろで、開業するにあたって参考になることは多いと思います。最も実効性のある優秀な開業コンサルタントは、その土地で先に開業している医者だということを忘れないでください。