昨日に続き、変わり種のゴールドベルク変奏曲の紹介。今日はオルガンです。これは、ありそうで意外に少ない。
何故かというと、たぶんオルガンという楽器の特性に関係している。つまり、オルガンは空気を送って鳴らすわけですから、いわゆる早弾きには適さないわけです。
ゴールドベルク変奏曲にかぎらず、もともとチェンバロを想定して書かれた曲は音符の流れが早いところが多々あるわけで、オルガンではすべての音符をなぞって弾くことは困難。また足鍵盤があるので、このための音を抜き出すのも大変です。
さて、今回紹介するのはいつものHMVで見つけた激安物。なんと、661円です。この値段の前にひれふさない者がいるでしょうか。だめもと、ほかの買い物のついでにオマケでもかまわない。ところが、これが本当にすばらしい演奏なのです。
エレナ・バルシャイという人の演奏で2007年の録音。たいていのオルガン曲は宗教色が強く、比較的重々しい感じの者が多く、BGM的には向いていないように思います。
さすがにゴールドベルク変奏曲だと、音がはじけているような明るさもあり、オルガン曲のイメージを変えてくれる感じがします。これだけ無名の廉価盤にもかかわらず、書き込みも多いのはわかるような気がします。
確かにとにかく音がいい。オルガンの録音で、ここまで鮮明な物はそうはありません。音符が多いにもかかわらず、音が団子状になって聞こえる部分が少ない。
いろいろな楽器で演奏できる素材の良さもあるんだと思いますが、そういう風に編曲した演奏者の労力が大きいのだと思います。
このあたりは、クラシック音楽がただ楽譜をなぞるだけのものではないということの証明であり、まだまだ新しい感覚を取り込む余地のあるものだと痛感させられるところなのです。