2009年3月12日木曜日

サプリとジム

Dr.Flickerのブログで健康食品の話題をとりあげていました。実は、コメントしようと思ったのですが、長くなりそうなのでこちらで書き留めることにしました。

外来で診療をしていると、ヒアルロン酸やコンドロイチン、グリコサミンを飲んでいるけどどうなのよ、という質問が本当に多い。

まず間違っているのは「飲んでいる」ではなく、「食べている」です。これらは薬品ではなく健康食品ですからね、そこんとこ間違えないように。

じゃあ、食べたらいいことあるのかというと、基本的には・・・無い。世界中の健康食品を調べてみても、統計学的に有効性が証明できているものはほぼ皆無という報告があります。

口から取り込んで、消化・分解したものを腸で吸収して、再合成されて効果を出す・・・なら、そんな簡単なことはありませんよ。大多数の整形外科の患者さんは病院に通う必要は無くなり、整形外科医の大多数は路頭に迷うことになるでしょう。

大事なことは「サプリメント」とはどんな物かと言うこと理解していないといけないよ、ということです。サプリメントは補給ということです。

食事で不足している栄養を補給するもの。健康な状態の人が、健康を保つための物だということです。病気の人が健康になるための物ではありません。それは医薬品の仕事。

医薬品は数々の試験を繰り返して、有効性と安全性を科学的・統計学的に証明されて出てくる物なのです(一部不安な物があることは否定しませんが)。

Dr.Flickerも書いているように、過ぎたるは及ばざる如しで、健康食品も食べ過ぎれば問題を起こすわけです。自分の今の状態をよ~く考えてから、上手に使いたい物です。

一時流行った「サメの軟骨」も分子量が大きすぎて人間の腸管を通過しないことが証明されているようですから、ほとんど詐欺みたいなものでした。

痛みを何とかしたいという人間の弱みにつけ込んでいるような物です。多くの民間がん治療なども、そのようなものが少なくはありません。とにかく、病気を治せるというようなサプリメントは無いと思いますよ。

もう一つ、同じようなものがあるんです。それはスポーツジム。スポーツジムは、健康な人がさらなるパワーアップをするために行くところ。基本的には、病気の人が健康になるために行くところではありません。

ジムでは一人一人にトレーナーがついてしっかりと指導する・・・ところもあるかもしれませんが、大多数は各人が好き勝手に運動をするわけです。それも、楽しい感じがするマシントレーニングが主体。

マシンは一般には負荷が大きすぎで、体の弱い人はかえって体調を崩してしまうことが多い。高齢者にマシントレーニングを推進して、かえってけが人を増やしたという話は後を絶ちません。

多くの利用者は週に1回ジムに行って汗を流す。久しぶりだからと、何時間もやってかえって筋肉を疲労させているだけ。サウナに入って気持ちいい~。家に帰ってビールをシュパ~。何が目的かよくわからない、という人いませんか。

まず健康になるために運動するなら、負荷の少ない運動を毎日少しずつ、休憩を細かく入れながら積み重ねていくことが大事。もっとも、そういうところをきちんと指導できる医療機関が少ないことも大きな問題なのかもしれません。