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2009年3月18日水曜日

リウマチ治療薬の副作用

今日の朝日新聞で、またもやリウマチ治療薬の話題が出でいました。このところ、この手の話題は副作用の話ばかりです。

今回は、昨年発売されたばかりの新薬である、アクテムラの話。これは最新のリウマチ治療薬として期待されている生物学的製剤と呼ばれているものの一つで、しかもアクテムラはほかの物とターゲットが異なるため、ほかの薬に効果が無い人でもリウマチを抑えてくれるのではないかと期待されている物です。

自分のクリニックでも、必要とあればいつでも使うことが可能なように準備をしてありますが、実際のところまだ使用してはいません。それは、まだ全例登録といって厚生労働省に使用した状況をちくいち報告する段階の新薬だからです。

これは、事実上の治験薬とかわりはなく、まだ本当の問題点が洗い出されていないということだと考えています。使い方のノウハウが集積して、どうやって安全に効果的に使っていくかがわかってこないとクリニックとしては安易に使うことはできません。

もちろん優れた薬であることは間違いなく、リウマチ薬としても大きな期待を寄せていることにはかわりはありません。今回の朝日の報道については、すでに製薬会社からは死亡例の情報に対の説明をしていただいています。大事なことはそこのところです。

迅速な情報提供が、不要な混乱を防ぐ最も効果的な対策なのです。まだ未使用のうちのようなクリニックにも、しっかりと情報提供をしてくれる姿勢は信用にたるものであると言えます。


正式な解析か終了しているわけではありませんが、今回の死亡例の内訳としては、今までの生物学的製剤の場合と同じで、とにかく高齢者に圧倒的に多い。なんで、こんな高齢者に使うのだろうか、と思う物もあります。これは製薬会社の問題ではなく、使った医者の問題です。

この薬の場合は、ほかの薬に不応性のケースが多く含まれている可能性があり、すでに使われていた薬の影響も無視できません。普通に考えて薬の因果関係を否定するということは大変に難しく、「否定はできない」という表現を使わざるを得ないのですが、今回のケースには通常薬のせいとは言いきれない物がいくつか含まれていることは確かです。

もちろん、使う側の医者はさらなる注意をすべきことには異論はありません。4月には日本リウマチ学会があるので、この新薬についてのいろいろな報告が出ることを期待しています。