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2009年8月30日日曜日

Claudio Arrau / Final Sessions

クラウディオ・アラウは、南米の出身ですが、リスト直系の正統なドイツ古典音楽継承者として一時代を築いたピアニスト。

しかし、若い頃はホロビッツ、ルービンシュタインらの巨匠然とした演奏の陰に隠れ、あまり評価は高くなかったと言います。しかし、年を重ねるにつれ、特に80歳を超えてからは圧倒的な演奏の説得力が高く評価され、ピアノ音楽界に忘れ得ぬ存在となったわけです。

1991年に88歳で亡くなったので、もちろん自分の場合は存命中に聴くことはなかったのですが、クラシックをまじめに聴き始めた間もない頃に、最初に購入したのがアラウのCDでした。

ピアノ・メーカーのスタインウェイが制作した名ピアニストごとのベスト盤でしたが、低音から高音まで耳に迫ってくる音の響きの素晴らしさを感じました。

もちろん、グレン・グールドも独自の世界観という意味では好きなピアニストですが、自分の中では正統的な演奏のスタンダードとしてはアラウの存在が確立されたと言っても過言ではありません。ですから、ベートーヴェンのソナタ全集でもまずアラウで聴きたかったというわけです。

早弾きのバカテクを見せびらかすわけでもなく、一つ一つの音符を大切にたどっていく折り目正しい演奏が、かえってじーんっと心にしみ込んでくるんですね。

このアルバムは、そんなアラウの最後の数年間のスタジオ・ワークをまとめたBOXセットです。まさに円熟の極み、しかもデジタル録音によるクリアな音質で聴くことができるという、これ以上何を期待しようかというものです。

バッハのパルティータ(1,2,3,5)、ベートーヴェンのソナタ(1,2,16,22,24,25)、シューベルトのソナタ(18)など、そしてドビュッシーのベルがマスクなど得意のレパートリーがCD7枚に凝縮しているのです。

自分はピアノはほとんど弾けませんし、聴く一方ではありますが、ちょっとでもクラシック・ピアノに関わろうという方は最初に是非聴いて貰いたい演奏の一つと言っても良いのではないかと思っています。