2013年9月6日金曜日

J.Geoffroy / J.S.Bach Partitas & Sonatas, Cello Suites


木琴というと、小学校の音楽室みたいな想像をしますが、木製の鍵盤打楽器でプロの音楽家が使っているものはマリンバと呼ばれます。ほぼ似たようなものとしては、シロフォンというのもあります。

ジャズの世界では、ヴァイブあるいはヴィブラフォンと呼ばれ、ミルト・ジャクソンやゲーリー・バートンのような人気奏者がいて、昔から馴染み深い楽器。柔らかみのある味のある音色は、聴いてなごみやすいものです。

中にはマレットを両手に数本ずつもって、アクロバティックに演奏されることもあったりします。しかし、楽器としては基本は片手で1音ずつ、一度に和音は2音くらい。どちらかというと、単音楽器として扱われるのが無難。

また、音域は実用的には5オクターブ程度で、 ピアノと比べるとかなり狭い。また音量にも多少不利な点があるので、大規模なオーケストラの中では使いにくいということもあってか、クラシック音楽の世界ではあまりポピュラーなものではありません。

それでも、クラシック畑のマリンバ奏者も世界にはいるもので、ジャン・ジェフロイという人、なかなか只者ではありません。自ら編曲して代表的な無伴奏弦楽器曲であるJ.S.バッハのバイオリンのためのパルティータ & ソナタ、およびチェロ組曲をすべてマリンバで演奏してしまいました。

もともと単音中心の曲だけに、ギターやリコーダーなどの編曲版は数多く存在し、それらも含めて馴染み深い楽曲なのですが、マリンバ版というのは初めて知りました。

なかなかすごいもので、自分が演奏した事など無いわけですが、それでも驚愕するに値する怪演と言ってもいいかもしれません。お見事としか言いようのない、名人技を堪能できます。

怪演としたのは、実はマリンバの特徴である残響が出すぎでせっかくの音が団子になっているんです。そのために、打楽器として特徴である音の切れが隠れてしまいました。

このあたりは、録音の技術的なものも関係しているのかもしれません。普通のバイオリンやチェロでの演奏の次に聴きたいと思ったときの、次の楽しみとしては一度はお奨めできる演奏です。