蟄虫坏戸は七十二候のひとつで、「むしかくれてとをふさぐ」と読むんだそうです。いろいろな虫が、冬篭りの準備をし始めるということらしい。3月頭の啓蟄(けいちつ)の反対ということ。
今年は夏の暑さが厳しく、秋の風情の代表である虫の声が聞こえ始めたのは、割りと最近のような気がしていました。 ところが、この数日で朝は20度を下回り、けっこうヒンヤリするようになって虫の声は尻つぼみ。
おやおや、数えられるくらいしか鳴いていませんね。皆さん、冬支度を始めてしまったんでしょうか。冬を耐えるための巣に入って、扉を閉めてしまったみたいですね。異常気象と言われていますが、季節は粛々として毎年の営みを続けているようです。
カブトムシとクワガタは、何となく外観が勇ましく似ている感じがする昆虫です。ところが、蟄虫坏戸の状況はずいぶんと違う。
カブトムシは夏の終わりに卵から幼虫となり、脱皮を繰り返しながら来年の夏の初めまで土の中。成虫になって2ヶ月間程度で、また卵を産んで死んでしまう。
クワガタは幼虫のまま1年以上朽ち木の中で過すそうです。夏の終わり近くになって成虫となるのですが、そのまま朽ち木の中で越冬する。次の年に夏の間だけ外に出て活動して死んでいく。
人生いろいろ、いや虫生いろいろ。何にしても、秋真っ盛りになってきましたが、あちこちですでに冬の準備が始まっているということですね。