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2013年9月26日木曜日

ローレライ (2005)

日本の映画 - あるいはテレビドラマも含めてもいいのですが - では、戦争を題材にした場合、基本的に「戦争の悲劇」をテーマにしたものがほとんどで、エンターテイメントとして娯楽性を前面に出したものはたいへん少ない。

欧米でも戦争物の映画たくさんあるわけですが、終戦後しばらくは比較的戦争に関わる人の人間ドラマが多かったのですが、60年代くらいからは戦争の現場を題材とした娯楽映画、つまりアクション物が人気を持つようになりました。

太平洋戦争は、基本的に日本の近隣諸国に対する「侵略戦争」という考え方は一般的になりました。本来、日本は加害者側の立場にあるものの、敗戦した事、特に世界で唯一核爆弾の被害を受けた事もあり、戦争を反省する一方で、多くの悲劇が発生した事などがテーマになりやすい。


日本では戦争を娯楽映画として作る事には、ややアレルギー的な、何となく避けているようなところがあることは否定できません。アクション物の映画では、ヒーローは最後には「勝つ」ことが求められるので、戦争の肯定につながる可能性があるからでしょうか。

1979年の「戦国自衛隊」は、珍しく戦争エンターテイメント映画として記憶に残るものです。ただし、太平洋戦争ではなく、もっと古い戦国時代が舞台ですから、受け入れやすかったのかもしれません。

福井晴敏は、現在40歳代前半の小説家であり、まさにガンダム世代。2000年頃から、ヒット作を連発し、映画界にも積極的に関わるようになりました。

「終戦のローレライ」は、21世紀に発表された架空の戦争小説としては代表的な作品となっていて、日本では比較的珍しい太平洋戦争を題材にした娯楽映画として2005年に映画化されました。「踊る大捜査線」のプロデューサとして名を上げ、最近はフジテレビの社長になった亀山千広が制作したことからも、映画の内容は想像できるというもの。

単純に娯楽作品として見ると、それなりに楽しめます。ただし、潜水艦という密閉空間では発生する諸問題はある程度語られつくした感があり、あまり目新しさはない。そこで、まったく新しいドラマを作り出すために、無理やり潜水艦に女の子が載っているという状況を作ったところがこの映画のミソ。

ただし、やはりこういう設定にはもともと無理があり、SF的な超自然現象的な解釈が支配することでストーリーを進ませているので、太平洋戦争という歴史の中にまったくありえない時空間を作ってしまい、どうも世界観がピンとこない感じです。

やはり、自分も含めて太平洋戦争に娯楽性を見出す事は、作る側も見る側も日本人にとってはまだまだ難しいのかもしれません。

★★★☆☆