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2014年8月12日火曜日

永遠の0 (2013)

昨年末に公開された、百田尚樹原作のベストセラー小説を原作とした邦画で、映画も87億円の興行収入を叩き出す大ヒットとなった作品。

最近の映画としては、珍しくテレビ局が制作に関与していません。監督は「三丁目の夕日」シリーズの山崎貴で、山崎は日本のCGを駆使した特撮で有名な白組出身で、もともといろいろなメディアを通じて様々な映像作家からノウハウを吸収して成長した人物と言えるのかもしれません。

ヒット作の宿命とも言えるのが、作品に対するバッシング。この作品についても、有名映画監督らを含め多くの文化人らが批判を展開しました。基本的には「戦争、特に特攻隊を美化」することで「戦争の責任を忘れて太平洋戦争を悲劇としてとらえる」というようなものでした。

自分の感想は、これらの批判を相容れるものではありませんでした。確かに映画としては、見事な空中戦のシーンなど「戦争エンターテイメント」とも言えるような部分を含んだフィクションであるものの、あくまで一人の「零戦乗り」を主役とし戦争を否定した内容だと思います。

作中に出てくる会話で、「特攻はテロだ」という現代社会における意見に対して、「特攻の対象は一般人ではなく、戦争兵器」であるが、「九死に一生なら命をかけられるが、十死に零生ではもはや作戦とは言えない」と否定しています。

すべての人が「お国のため」に命を捧げた時代ですが、本音の部分で家族のために生きて帰りたいと願っていた兵士がいても不思議はありません。そういう戦争によって、個人のレベルでは多くの悲劇が起こったことは現実だろうと思います。

ですから、国が戦争を起こす事の責任論とは別物と考えるべきではないでしょうか。軍を主体として描いていれば、戦争責任の逃避と批判されるかもしれません。戦争映画が、実際の史実に忠実でなければいけないというルールは存在しません。

事実に由来する幾多の大戦を舞台にした映画がありますが、庶民が主人公のものは「戦争による個々の悲劇」を描いたものであり、それを通じて戦争を否定するものです。

例えフィクションであったとしても、むしろフィクションだからこそ、軍隊という組織の中にいて反戦思想を口にする一兵士を主人公にすることができたのかもしれません。

いずれにしても、反戦や特攻批判を目的とした話ではなく、いかにして生き抜くかが本当のテーマなのだろうと考えれば、良質なエンターテイメントなのではないでしょうか。

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