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2014年8月28日木曜日

何故カンタータなのか?

なんで、そんなに声楽の宗教曲ばかり聴いているの?

という、クラシックをあまり聴かない人からすれば、ごく当たり前の質問をされました。そりゃ、そうでしょう。自分だって、声楽というのは特殊なジャンルだと思っていましたし、そもそも歌物は大の苦手だと散々書いてきました。

それでも、苦手を克服しようと思って、バロック音楽のボックス・セットを購入したことがありますが、60枚のうち半分くらいには声楽が混ざっていて、結局聴いたのはバッハとヘンデルの器楽曲くらい。

ヴィバルディのボックスを手に入れても、格安でイ・ムジチを聴きたかったわけで、「3000円ちょっとでイ・ムジチ全集20枚組に歌物20枚がおまけについている」と書くくらいで、最初から声楽は捨てている。

クラシック音楽そのものも、10年くらい前まではほとんど聴かなかったのですが、元々ジャズは大好きで、グレン・グールドのゴールドベルク変奏曲に「JAZZ」を感じたのがきっかけではまったわけです。

つまり、クラシックというのは譜面通りに演奏するわけで、誰が演奏しても同じで、有名曲を一通り聴けば十分と思っていたのですが、グールドの演奏で解釈の仕方によってまったく別の曲のように聴くことができると知らされました。

ですから、編成が少人数であるほど、奏者の個性が出やすいので、室内楽、器楽曲と呼ばれるジャンルを中心に楽しむクラシック・ファンとしては、かなり偏屈な聴き方をしていたのです。

もともと、カラヤンという大指揮者は好きではありませんでした。権威主義をかざして、大袈裟すぎて、やたらともったいをつけているような印象だったわけで、そのせいでオーケストラ物に興味が無かったというのもあります。

器楽曲や室内楽曲の有名どころを大方揃えてしまうと、だんだん新たに発掘できるものないので、編曲物に手を出してかなりマニアックな方向に進むのですが、そこで見つけたのがモーツァルトのレクイエムの弦楽四重奏版でした。これが、かなりよかったので何度も聴いてメロディに馴染んだわけです。

それと、ベートーヴェンのピアノ・ソナタからピアノ協奏曲をたどっていって出会ったのが、ジョン・エリオット・ガーディナーでした。室内楽版のおまけがついているという理由からのチョイスだったのですが、このオーケストラの音がなかなかよかった。

それじゃ、せっかくだからベタな感じですが、ベートーヴェンの交響曲全集も一つくらいもっていてもいいだろうということでガーディナーの名盤とされているセットを購入。

ここで、初めてオーケストラも面白いと感じたわけです。カラヤンと違うのは、いい意味で軽いというところ。それがピリオド奏法であり、古めかしいところにこだわるわけではありませんが、ひとつのジャンルとして楽しめる事がわかりました。

というわけで、そのガーディナーが演奏するモーツァルトのレクイエムなら、ひょっとしたら最後の苦手の声楽を克服できるかもと思ったわけです。しかも、DVDで映像があると音だけよりも集中力がアップします。

これが、なかなかよかった。となると、歌っている内容が知りたくなる。さらにミサ曲の成り立ちを調べていくうちに、基本的な約束事がわかってくると、他の宗教曲も聴けるようになってくる。

そこからは、坂道を転がるが如く・・・ で、そこに決定的だったのが、ガーディナーのバッハ・カンタータ全集の発売でした。宗教曲を聴き始めると、すぐにぶち当たるのがカンタータです。特にバッハのものはクラシックのエベレストみたいな存在であるわけで、いきなり聴くのはかなり大変。

そこで教会暦に沿って作られたカンタータを、実際に教会暦に沿ってガーディナーは1年間かけて演奏したわけですから、聴くほうも1年間かけて暦通りに聴いていこうと思い立ったというわけ。

そこに日本を代表する鈴木雅明のカンタータ全集の完成が拍車をかけ、これだけのものを単なるBGMとしてだけ聴き流すのはあまりにももったいない。歌詞の内容だけでなく、時代背景や曲の成り立ちなどを知りたくなるというのは自然の流れです。

このブログで、これらのエントリーを最初から呼んでいただければ、そのあたりのエッセンスがわかってもらえると思います。ここに出てくるくらいのことを知って聴くだけで、相当楽しみは増えると思いますので、是非、一緒に聴いてみてください。