クラシック音楽の作曲家で、たぶん最も知られていて人気があるのはモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart、1756/1/27 - 1791/12/5)でしょう。
18世紀までのクラシック音楽は、情報量は多くは無く、様々な混乱がつきもの。モーツァルトのような当時から人気のあった作曲家は、おびただしい作品が残っていて、その中には多くの偽作、贋作が含まれています。
交響曲と呼ばれるモーツァルトの作品は、一般には番号付きは第41番まで。でも、途中に抜け落ちているものも少なくないし、番号は無くても、交響曲として扱われるものもかなりある。
ですから、間違いないところを網羅した「全集」としては、カール・ベーム指揮、ベルリン・フィルのものが定番として名高いので、これだけ聴いておけば間違いがないという評価に落ち着いています。
ただし、本来のモーツァルトの音楽ということで考えると、ベルリン・フィルは重すぎる。ゆっくりと重厚を好むベームの指揮も相変わらずで、ちょっとした感じがあることは否めません。
そこで、登場するのがクリストファー・ホグウッドです。古楽系の草分けの一人ですが、だいたい古楽系の音楽家は研究熱心で、ホグウッドもその例にもれず学者としてもかなりしっかりした人。
モーツァルトの交響曲と呼ばれているもの、呼べるものを全部集めてみましたという大金字塔となった全集を1978~1986年にかけて録音しました。全部で71曲という壮大なスケールは、今後も誰にも打ち破られることはなさそうです。
もちろん、疑作・偽作の類も含まれており、また第1版、第2版といったバージョン違いもあり、断片的な物も含まれているという至れり尽くせりの構成です。
モーツァルトが実際に耳にしていただろう、軽めの編成できびきびとした演奏は痛快です。ほとんどが長調の曲ばかりですから、この演奏の方が聴いていて違和感がありませんし、BGM的に聞き流す時も邪魔になりにくい。
あまり難しい事を考えなくても、モーツァルトの交響曲をたくさん聴きたいなら、文句なしに一押しのセットです。