「史上最大の作戦(1962)」や「バルジ大作戦(1965)」のような戦争大作で有名なケン・アナキン監督が、自ら脚本も書いたオール・スター・キャストのコメディ大作です。
あらすじはいたって単純。時は1910年。飛行機の黎明期で、マニアが各自いろいろな形の飛行機を好き勝手に飛ばしていました。高度はせいぜい数10メートルで、速度も数10km/hですから、飛行距離もたいしたことはない。墜落しても、めったなことでは死人は出ないというのんびりした感じ。
新聞社を経営するローズリー卿(ロバート・モーレイ)は、娘のパトリシア(サラ・マイルズ)の恋人、近衛兵で飛行機乗りのリチャード・メイズ(ジェームズ・フォックス)の提案を受けてロンドンからドーバー海峡を渡ってパリまでの飛行機レースを開催することにします。
世界中から賞金目当てに我こそはというチャレンジャーが、それぞれの趣向を凝らした飛行機と共に集まってきます。オービル・ニュートン(スチュアート・ホイットマン)は、ずけずけとした態度のアメリカ人。イタリアのポンティチェリ伯爵(アルベルト・ソルディ)は、愛妻家でたくさんのこどもの父親。
フランス人のピエール・デュボア(ジャン・ピエール・カッセル)は、女性にはすぐに手を出して甘い言葉で誘惑ばかりしている。ドイツ軍人のホルスタイン大佐(ゲルト・フレーベ)は、何事もマニュアル通りにきっちりと行動しないと気がすまない。
そして、我が日本からもヤマモトという威勢の良い若者が参加しています。なんと、ヤマモトを演じているのは海外映画初出演となった石原裕次郎です。初登場シーンの場面は設定は日本らしく、ほんの少し肉声が聞けますが、あとは全部英語に吹き替えられていました。
そして、この映画の悪役はパーシー卿(テリー・トーマス)で、ライバルを潰すべく毒を盛ったり、飛行機に仕掛けをしたりとやりたい放題。おかけでヤマモトは離陸と同時に墜落して、早々にスクリーンから退場してしまいます。
夜間飛行は危険なので、出場者は海峡沿いの街で一泊するのですが、パーシー卿は船に飛行機を載せて夜のうちに海峡を渡ってしまうというインチキを平然としてしまう。しかし、結局は蒸気機関車の上に着陸してしまい、飛行機が壊れてリタイアしてしまいました。
パリまでたどり着いたのはオービル、メイズ、ポンティチェリ、そしてデュボアの4人。ゴール直前でポンティチェリの機体が火を吹いてオービルが助けているうちにメイズが一等でコールします。しかし、メイズはオービルの行為を称え勝負は引き分けだというのでした。
主役はオービル、メイズ、そして両者から思いを寄せられるパトリシアということ。ではありますが、登場人物が多く、それぞれにさかれる時間がけっこうあるので、全体的には間延びした展開で、だいぶ退屈な映画になっているといえそうです。石原裕次郎が出ていなければ、あまり興味をそそられるところはありません。
実は、これ小学生の時に劇場で見ています。内容はほとんど印象には残っていないのですが、裕次郎が出ていたということだけ記憶していました。多分、父親もそれだけの理由で、自分を映画館に連れ出したのだろうと思います。
俳優たちのアップはスクリーン・プロセスでの撮影ですが、遠景ではクラシックな飛行機のスタント飛行も随所にあり、それなりの見応えにはなっていますので、興味がある方は一度は見ても損はしません。