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2024年5月12日日曜日

金属鉛筆


鉛筆は文房具の中では基本中の基本。

昔はトンボ鉛筆の緑色の物がスタンダードで、三菱鉛筆の「uni」なら高級、「Hi-uni」ならセレブという感じでした。「鉛筆」と呼んで芯には鉛が使われている・・・と考えがちですが、実際は炭素の結晶(黒鉛)で、金属は含まれていません。

そのうち、シャープペンシル(通称シャーペン)が登場し、鉛筆を「削る」という作業はしなくてもよくなりましたが、鉛筆自体は消えることなく、今でも定番の筆記用具として生き残っています。シャーペンは芯が折れやすく、必ずしもすべての場面で便利とは言い難い。

鉛筆の最大の利点は、消しゴムできれいに消せること。鉛筆は使うほど摩耗して、芯の先端が丸くなりますが、それがかえって微妙な書き味をだせるところが、アナログ的で人の手に馴染むような印象です。ぐるぐると鉛筆削りで削ると早いのですが、ナイフやカッターで削ると「物を作る、整備する」ようなある種の楽しみも感じます。

さて、最新の文具のトレンドの一つに、ずぅ~~~っと書き続けられる鉛筆があります。普通の鉛筆1本では、数十kmの線を書けると言われています。当然何度も削りなおして使うわけで、一回削って一定の太さでかけるのはせいぜい数mというところでしょう。

大手文具メーカー、サンスターが2022年に発売した「メタシル」が有名で、鉛筆の芯そのものである黒鉛を含んだ特殊合金がペン先に使われていて、摩耗が極度な少ないため続けて16kmも書き続けられるというのが売り文句です。ある程度摩耗したら、ペン先だけ交換する仕組みです。

16kmって、どんだけのものか想像しにくい。一般に長編小説と呼ばれるものは十万~数十万字が使われていて、ギネス認定された日本で一番長い完結した小説とされる山岡荘八の「徳川家康」は原稿用紙で約17000枚といわれています。

本などに使われる大きさの文字だと、1文字はせいぜい1cm以内にほとんどが収まりそうなので、百文字で1m、十万文字で1km、16kmということは160万文字、400字詰原稿用紙で4000枚分になる。ということで、メタシルの芯の減らなささは驚異的ということがわかります。

ところが、残念な点は、文字の色が薄いこと。鉛筆の濃さはHとかBで表示されていますが、標準的なHBと比べて、メタシルは2H程度と言われています。書く紙質によって差が出るようですが、けっこう薄いのは、時には致命的。

そこで、Amazonで探すと、メタシル以外にもけっこうたくさんのブランドが見つかります。レヴューなどを参照して、一番濃く書けそうなハイハイ(Hi-High) エターナルペンシルというものを購入してみました。軸が木になっている一番高級感があるもので約800円。安いプラスチック製なら300~500円程度なので、比較的気楽に試せる値段です。

で、書いてみた。書き味はまさに鉛筆。金属で書いているという感触はありません。問題の濃さは、実用レベルだと思います。ただし、普通のHBの鉛筆で書いたものと比べると明らかに薄いことはわかります。

用途や紙を考慮すれば、ダメということはないのですが、もう少し摩耗が早くて構わないので実質HB以上の濃さで書けるものも発売してもらいたいところでしょうか。