2024年5月1日水曜日

医師の働き方改革


おっと、気がついたら世の中はゴールデン・ウィークに突入していた。

何でも、休める人は最大で10連休だそうで、まったく無縁の自分としてはそんなに働かないで遊んでいるなんて・・・と言いつつも、半分羨ましく思っていたりもします。たぶん、一生、そんな生活は無理かもしれない。

というわけで、クリニックはカレンダー通り。赤いところは休診ですが、黒いところは普通で、本日、4月30日、そして5月1日、2日は診療をします。

もっとも、クリニックで全部休みにするところなんてほとんどありません。毎年、医師会からGW期間中の休みを各クリニックから聞いて、集計した案内が送られてくるのですが、ほとんど意味がありません。お盆の頃とか年末・年始みたいに、クリニックによって休診日がばらつく時期は意味があるんですけどね。

4月から運送業界で働き方改革が始まり、いろいろと話題になりました。実は医療業界でも同様で、医師の勤務時間に厳しい制約が課せられることになりました。もちろん、クリニックはたいてい医師が自分で働けるだけ働けばいいのであまり関係はありませんが、最も影響を受けるのは勤務医の方々。

自分が研修医の時は、朝8時前に出勤し担当の患者さんの状態などを把握して、9時から外来だったり病棟の業務、または手術に入ります。午後は外来・手術が無ければ、研究・勉強・学会準備など。夕方になると検査結果などが集まってくるので、再び病棟でカルテ整理。

早ければ夜7時くらいにだいたい帰れる・・・のは珍しくて、これらの合間を縫って救急車がガンガンやってきます。まだ救急救命という独立した科は黎明期だったので、救急はほぼ各科の医師が呼び出されていました。

そして当直。一番多かった時で、月に15回。下っ端が自分と同期の二人しかいなかったので、交互に泊まっていました。研修医の給料は、1年目基本給5万円+住宅手当2万5千円、2年目だと基本給が7万5千円。当直は何回やっても月に5千円。当直明けは、夜中に緊急手術した時でも普通のいつもの業務に入ります。タイムカードはなくて、勤務時間なんて有って無いようなものでした。

だから、今の若い医者は甘やかされているなどと言うつもりはまったくありません。どう考えたって異常な生活ですから。確かに短期間でたくさんの経験をさせてもらったと思いますが、おかけでバブルの一端すら味わったことがないまま崩壊していましたっけ。

とにかく、若い医師の方々が人並みの生活する中で、しっかりと成長していくためには新しい考え方の仕組みが必要だと思います。高度経済成長期の末尾を引きづった自分たちは、おそらく思いつかないのかもしれません。ところが、残念ながらほとんどの「教授」と呼ばれる方々は自分と同じような世代ですから心配です。

2000年からの小泉改革で、医療界にも労働基準本を守ろうという機運が最初に導入されました。その後に医者になった方々は、今は40代の中堅を担っているわけで、彼らが改革の中心になることが望ましいと思っています。