「マリア」ではなく「まりや」というのが言いにくかった・・・というのはどうでもいいところですが、70年代後半に登場し、すでに全盛となっていた松任谷由実らの「ニュー・ミュージック」と呼ばれる明るくなったフォークより、さらにポップス調が増した楽曲が多かったのが竹内まりや。
1978年デヴューで、「戻っておいで・私の時間」、「ドリーム・オブ・ユー」、「セプテンバー」、「不思議なピーチパイ」と立て続けに大ヒットを飛ばします。その後もコンスタントに誰にも響く佳曲を作り続け、マイペースながら現在も現役で活躍しています。
ごく初期のベスト盤は1982年の「VIVA MARIYA」ですが、その後の落ち着いた良質の(JPOPとは一線を画す)日本のポップスの名曲を含むのが1994年の「Impressions」です。まぁ、そこそこのファンはCD1枚のこれがおすすめ。
ただしヒット曲以外のものも含めて、それなりに聞きこみたいというのであれば、一番のおすすめは、デヴュー30周年記念として発売された2008年の「Expressions」でしょう。
企画の意図として、ファン投票を参考に自身が選曲した42曲をCD3枚に収め、他人が作った曲を歌うシンガー、自ら作って歌うシンガー・ソング・ライター、そして他人に楽曲を提供するソング・ライターという竹内まりやの3つの面を網羅しようというもの。
薬師丸ひろ子への「元気を出して」、河合奈保子への「けんかをやめて」などはよく知られていますが、竹内まりやとしては珍しいマイナー調で大ヒットした「駅」が中森明菜に提供した曲のセルフ・カバーというのはあまり知られていないかもしれません。
1982年に山下達郎と結婚。けっこう世の中を驚かせたニュースでしたが、以後山下を主アレンジャーとして、マイペース路線になっていきます。ただし、もともと山下と方向性が似ていたのもありますが、「竹内調」を堅持しているところはすごいところ。
このアルバムのキャッチコピーは「人生のところどころに彼女がいました」というもので、まさに言いえて妙という感じ。一曲によって人生が変わったという人は多くはないと思いますが、確かに一つ一つを聞いていると「ああ、あの頃あの時によく聞いたな」と思えて幸せな気分になります。