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2024年5月5日日曜日

松任谷由実 / 日本の恋と、ユーミンと。 (2012)

松任谷由実は「ニュー・ミュージック」と呼ばれる音楽ジャンルの元祖であり、日本の「歌謡曲」を終わらせ今の「JPOP」の基礎を作った人・・・というのは大袈裟かもしれませんが、あながち間違っていないと思います。

それだけ大きな影響力を持ち、大衆からも絶大な支持を得ているわけですが、(前にも書いたと思いますが)自分としてはあまり好きじゃない。あの声質が生理的にきつい。とは言っても、確かにキャッチャーなメロディが刺さりやすく、誰もが受け入れやすいメロディ・メーカーであると思います。

1972年に荒井由実としてデヴューした頃は、演歌にせよ歌謡曲にせよ、あるいはフォークであっても、コード進行はC、F、G、E、D、Am、Dm、Emなどの比較的単純明快なコードで足りていました。ギターを手にしたばかりの小僧でも、比較的ジャカジャカと合わせやすかった。

ところが、荒井由実の登場で、ギター小僧は初めて「メジャー・セブンス」という本来なら不協和音となるコードに出くわして驚くことになりました。これがニュー・ミュージックの正体だと思っているんですけど、微妙に不協和音を使うことでものすごくムーディになるんです。

音楽好きにはなんか今までと違う雰囲気の音楽だなと注目されていましたが、一般にも知られた最初の曲は、おそらく1975年のTVドラマ主題歌になった「あの日にかえりたい」で、日本の歌でボサノバ調というのが新しかった、これをきっかけに新進女性歌手のトップに躍り出たように思います。

1976年に結婚により松任谷姓に変わり、やや曲作りに重点を置いたこともあってユーミン・ブームは落ち着きます。しかし1979年以降、様々なエンターテインメントを組み込んだ大規模なコンサートを行うようになり、折しもバブル景気と相まって再び人気に火が付いたのは皆さんご承知の通り。

現在までにオリジナル・アルバムは39枚。好きな人はどれにも思い出が詰まっていることでしょうけど、自分のように積極的なファンではないとベスト盤で十分。でも、ベスト盤も最新の「ユーミン万歳! (2022)」までたくさんあるので、なかなかどれをチョイスするか悩むところ。

そこで、2012年発売の「日本の恋と、ユーミンと。」をおすすめしたい。デヴュー40周年記念として、CD3枚組で全46曲が収録され、驚くことに積極的なファンではない自分でもどれもが聞き覚えがあり、最近までの知られた曲がほぼ網羅されているといえます。

また、デヴュー45周年記念として2018年に「ユーミンからの、恋のうた。」が発売されました。こちらは、「日本の恋と、ユーミンと。」に漏れた曲の中から、自身が選曲した45曲がCD3枚に納められています。さすがに自分は初めて聞く曲も多いのですが、これら2つのセットを揃えれば、まぁ何とか困ることはないでしょう。