飯田譲治、梓河人の共著による小説が原作で、飯田譲治が自ら脚本・獲得した映画です。正体不明の犯人による猟奇殺人事件を追う二人の刑事の活躍を描くサスペンス・・・と思ったら、どちらかというとホラーに近い話で、何だかわかったようなわからないような作品です。
殺人件場に駆け付けた刑事の早瀬学(江口洋介)は、頭が割られ脳が取り出された遺体に愕然とします。しかも、部屋の台所には鍋に作りかけの料理が残されていて、煮ていたのは被害者の脳でした。
早瀬はベテランの飛鷹(原田芳雄)と捜査に当たりますが、被害者の首がねじ切られるように殺害されている手口から、相当力の強い男が犯人と考えられました。早瀬は、かつて犯罪組織から助けた大庭朝子(市川実和子)と付き合っていましたが、朝子は直観力の強い女性でした。早瀬が持ち帰ったた捜査資料を見た朝子は、料理のことなどから犯人は女性だと言います。
続けて同じような遺体が見つかり、現場に残されたものから女子大生の柏木千鶴(岡元夕紀子)が容疑者として浮かびます。千鶴は、クラブで3人の男を連れ出し一人を殺害、一人は何とか逃げ出し警察に通報します。早瀬らが駆けつけると、柏木千鶴は死亡しており脳がほとんど委縮して無くなっていました。
現場で保護されたもう一人は、気弱な性格の木村敦(柏原崇)でしたが、今度は木村からプレゼントがあると早瀬に電話がかかってきます。指定の場所には、今までと同じような惨殺死体がありました。木村は人間離れした超人的な運動能力で現場から逃亡します。
オカルトや超常現象を使用しない飛鷹も、さすがにこの事件が普通ではないことを認めます。検視官の赤城(柄本明)は、千鶴の遺体の様子から、「ナニカ」が脳に侵入し、超人的な能力で狂暴な犯罪を起こしているとしか考えられないと説明します。侵入されて脳は腫瘍化して委縮し、肉体が使えなくなると別の体に移るのではないかという仮説を立てるのでした。
木村の襲撃でケガをした早瀬は警察病院で治療を受けますが、担当医の笹本(松雪泰子)に乗り移った「ナニカ」は早瀬に近づいてくるのでした。
今から考えると、ずいぶんと豪華なキャスティングでずいぶんと謎の多い映画を作ったものだと、別の意味で拍手を送りたくなりますが、何となく「ナニカ」の正体についても言及されているものの、最後は「誰にでもある悪意」みたいなものとしているのはわかったようでわからない。
悪意の塊であるような人間が犯人というのであれば、まぁまぁサスペンスの秀作くらいにはなったのかもしれませんが、いかんせん犯人が「ナニカ」なので、モヤモヤが残るところ。グロい場面はそれほど多くはありませんが、見る人を選ぶ映画だと思います。