映画プロデューサー根岸洋之の原案からスタートし、監督・脚本の山下敦弘が肉付けして完成した、女子高校生がバンドを組んで、文化祭での演奏を目指す4日間を描いた青春映画。彼女たちの飾らないリアルを描いたことで、各映画誌からも高い評価を得ています。
明日から3日間の文化祭が始まるというその前日、山田響子(前田亜季)がドラムをたたくガールズバンドは、ギター担当が指のケガをして抜け、そのことでキーボード立花恵(香椎由宇)とボーカル丸本凛子(三村恭代)が喧嘩になって、凛子がバンドを抜けてしまいました。
しかし、響子と恵とベースの白河望(関根史織)は、文化祭最終日のステージをあきらめられず、たまたまとおりかかった韓国からの留学生ソン(ペ・ドゥナ)を急遽ボーカルに決め、恵がギターを担当することにしました。オリジナル曲を演奏するのは到底無理なので、THE BLUE HEARTSの楽曲を演奏することにして急遽練習を始めます。
日本語が不得意なソン、ふだんギター担当じゃない恵ですから、最初は音を合わせようとしてもボロボロです。しかし、時間が無いので文化祭が始まっても合間をぬって練習に打ち込む4人。ときどき恋バナで盛り上がり、先輩との交流などがあり、次第にバンドとして形になっていくのでした。
いよいよ最終日、軽音楽部のロック・フェスが始まりましたが、観客はまばら。4人は連日の猛練習で寝込んでしまいます。出番になっても現れないため、仲間たちがいろいろと歌ったりして時間をつないでいるうちに、外は突然の豪雨。気がついた4人は、雨でびしょ濡れになりながら会場の体育館に駆け込みます。雨宿りで大勢集まった中で、彼女たちは思い切り「リンダ・リンダ」を歌い大喝采を受けるのでした。
ちょっとしたことで喧嘩したり、気のある男の子にドキドキしたり、学校に忍び込んでこっそり練習したり・・・いかにも高校生ならやりそうな、あるいは高校生の頃に誰もがやったことがあるようなエピソードの積み重ねで、特別に大きな事件が起こるわけではありません。
かえって、そこが高校生たちのリアリティを浮き彫りにするところ。本来、異質な韓国人留学生を混ぜることで、ストーリーとしての面白さを強めているのは企画の勝利という感じです。ソンに告白して相手にされな男子で松山ケンイチ、軽音部の部長で小出恵介が登場しますが、まぁ、みなさん若い事若い事。
急場しのぎのバンドをやって意味があるのかと問われ、楽しければいいじゃんと答えるあたりに本質があるように思います。自分も高校生のときに文化祭展示の経験がありますが、特別な達成感を得たかったわけではなく、確かに楽しいからやっていたというのが真実のように思います。
・・・と、ほめているようですが、そして評価も高いらしいのですが、はっきり言って似たようなシチュエーションが続くだけなので、だいぶ退屈な映画であることは間違いない。つまり、リアルに傾き過ぎてめりはりが乏しいというのは、商業映画としてはどうなんだろうという感じがしました。