言わずと知れた、挿入歌のタイトル曲と共に、大人気だったあだち充原作のマンガを実写化した作品。ほぼマンガを読まない自分も、何と実は単行本を持っていました(!!)。監督は犬童一心、脚本は山室有紀子。
しばしば問題になるのは、マンガではすでに映像イメージがファンの中に固定されているため、実写化した場合に賛否両論が巻き起こるということ。たいていの場合は、イメージと食い違いがありすぎるとか、エピソードを端折りすぎという批判的な見方が多く、この映画もそういう意見にさらされました。
隣同士で、幼い時から兄弟のようにして育った双子の上杉和也(斎藤慶太)と上杉達也(斎藤祥太)、そして朝倉南(長澤まさみ)の3人は、思春期になって、明星高校に入学すると少しずつビミョーな関係性の変化が起こっていました。
3人で交わした約束は、必ず南を甲子園に連れて行くというものでしたが、達也は野球を辞めてしまい、ボクシングを始めますがどこか中途半端。南は野球部のマネージャーになり、エースになった和也を支える毎日。
地区大会決勝まで進んだ明星の対戦校は強打者、新田明男(福士誠治)を要する須見工です。しかし、試合に向かう途中和也は、交通事故にあい命を落としてしまうのです。エース不在の明星は敗退します。
もともと剛速球を投げられる達也を、同級生たちが再び野球に引き戻します。しかし、秋の大会で達也は多くの失点をしてしまい、和也のかわりにはなれないことを思い知らされるのです。南は甲子園に行くのは3人でした約束だったはずだと詰め寄りますが、今の達也には重たいだけの言葉でした。
しかし、親友らの言葉によって、和也の代わりではなく、自分が南と和也を甲子園に連れて行くと考えることができた達也は再び立ち上がるのでした。そして、再び地区大会が始まり、決勝は再び須見工との対戦になりました。マウンドに立つ達也は、観客席の南の姿を探してしまいます。打たれれば負けという新田との最後の勝負。ベンチの指示は敬遠でしたが、ナインは達也に勝負させることにしたのです。
ものすごく青春スポ根としてはベタな展開ですが、何しろ主人公の一人が死んでしまうというのは究極の涙ポイントで、もちろんこれは原作がそうだからしょうがない。確かに原作と異なるエピソードも入って来て、それにもかかわらずものすごいスピードでストーリーが進むので、批判されるのは理解できます。
が、しかし、約2時間にまとめるためには、それなりに原作をそぎ落とす必要があるのは当たり前。それでも、絶対に落とせない部分はしっかりと描き切ることが大事で、この作品はそれなりに映画的にはよくできている。それでも文句を言いたい人は、可愛い長澤まさみを見るための映画だと思えばいいんじゃないでしょうか。