2024年11月22日金曜日

弱虫ペダル (2020)

渡辺航のマンガが原作で、自転車ロードレースにかける高校生を描いたもの。三木康一郎が監督・脚本を担当しました。キャスティングだけ見ると、アイドル映画のように感じますが、なかなか胸熱な青春根性物に仕上がっています。

総北高校に入学した小野田坂道(永瀬廉)は、秋葉原まで毎週往復90kmをママチャリで通うアニメ・オタク。その天性の走りを見た、中学から自転車の実力がある新入生の今泉(伊藤健太郎)は、坂道を自転車競技部に誘います。また関西から、総北に入学した鳴子(坂東龍汰)も、今泉にライバル心をむき出しにします。

総北高校の自転車競技部はインターハイに出場するような強豪で、新入生の実力を見るためのレースが行われましたが、部長の田所は競技素人でママチャリの坂道には走らなくい良いと言うのです。しかし、今泉や鳴子と一緒に走る楽しさがわかり、初めてともだちを持った坂道は承知しませんでした。

部の自転車整備の面倒を見ているのは寒咲自転車で、その娘寒咲幹(橋本環奈)は部のマネージャーで、坂道に競技自転車を提供するのです。坂道はだいぶ遅れてスタートすることになりましたが、ついに上り坂で先行する今泉と鳴子に追い付き、クライマーとしての才能があることを先輩たちに知らしめるのでした。

いよいよ地方大会となり、勝てばインターハイへの出場が決まる大勝負の時。田所は三年生3人と1年生3人のチームで勝負します。団体戦は、一人でも最初にゴールしたチームの勝利となります。田所の作戦は、三年生一人を先行させ、スタミナのある鳴子を最も風圧を受ける先頭で走らせ残り4人が後ろについてスタミナを温存、ゴール前の上り坂で坂道が今泉を先導し、最後に一気に今泉にスパートさせるというものでした。しかし、何と坂道は集団の転倒事故に巻き込まれてしまうのでした。

多少ストーリー展開が早くて強引なところはありますが、その分あきることなく最後まで見れます。また、坂道のキャラクター設定もかなりファンタジーな感じもしますが、まぁ、これが許せるのはテンポの良さがあるから。ゆっくり、じっくりだと突っ込み所満載になってしまうかもしれません。少なくとも、自転車の団体レースの駆け引きの面白さは十分に伝わります。この辺りは映画の作り手の勝利というところでしょうか。

俺が俺がの今泉と鳴子が、チームの勝利のために自分を殺して頑張るというところは、本来はもう少しそれぞれのキャラを深く描いてもらいたいところですが、坂道の初めて信用され仲間のために奮闘するところだけでも拍手したくなるのでよしとしましょう。