ジャズ・トランぺッター、マイルス・デイビスの久しぶりの「新譜」が、もうじき登場します。
マイルスが亡くなったのは1991年で、享年65歳でした。亡くなると、膨大な海賊盤が市場にあふれ、まだこんな音源がありましたという話題が続きましたが、それも10年ほど前からはほぼ出尽くした感がありました。
その頃から、本家本元のColumbiaレコード・ブランド(現ソニー・エンターテインメント)から「Bootlegシリーズ」が登場。海賊盤で初めて世に出た貴重な演奏音源を、正式なものとして発売していくというびっくりなものでした。
だったらリアルタイムで発売すれば良かったのに、と言いたいところもありますが、当時は本人が発売を許可しなかったり、発売することを前提としたものではなかったり、似たような内容のライブがすでに登場していたり・・・などなどの理由でお蔵入りしていたものが多い。
ですが、各3~4枚組CD(一部DVD)のセットで、これまでVOL.7まで発売され、中にはこれは何故リアルタイムに公式に発売されなかったのか不思議なほど素晴らしい物、あるいは海賊盤で寂しい音質だったのがグレードアップして楽しくなる物もけっこう含まれていました。
さすがに、このシリーズも今回のVOL.8で、そろそろ終わりそうな予感もします。今回は、すでに公式盤の名盤として認知されている「Miles in Europe (1963)」の完全版と同時期のフランスでのライブ集成です。
1963年はハービー・ハンコック(p)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)という鉄壁のリズム・セクションが加入し、マイルスがライブをたくさん行いメンバーを鍛え上げていった年。テナーサックスはジョージ・コールマンでしたが、1964年にはウェイン・ショーターに変わり、新生クインテットが始動します。
今回のライブは6枚のCDというボリュームで、この過渡期のグループの二人のテナーマンを聴き比べることができるので、マイルス愛好者には垂涎のアイテムになりそうです。