2024年11月26日火曜日

シムソンズ (2006)

北海道の常呂町出身のカーリング・チームのシムソンズは、2002年ソルト・レーク冬季オリンピックに日本代表として出場しました。現在は北見市のロコ・ソラーレが名実ともにNO.1ですが、シムソンズは日本中にカーリングを知らしめた元祖みたいなもの。

この映画は、シムソンズの成り立ちのエピソードを基に、それぞれ実在の選手をモデルにしたフィクションです。監督は「ストロベリー・ナイト」の佐藤佑市、脚本は大野敏哉です。

ホタテと玉ねぎ、そしてカーリングが名物の常呂町の高校生伊藤和子(加藤ローサ)は、根っから明るい性格。地元出身のカーリングのオリンピック選手、加藤真人(田中圭)にたまたまカーリング・チームを作ることを勧められます。実は、それは強豪女子チームのホワイト・エンジェルスから浮いてしまった尾中美希(藤井美菜)の居場所を作るためでした。

和子は同級生の受験勉強中の林田史江(星井七瀬)、酪農家の目立たない小野菜摘(高橋真唯)を口説きシムソンズを結成します。そこに真人に頼まれて現れたコーチは、ホタテ漁を仕事にしている大宮平太(大泉洋)でした。平太もかつては代表選手の一員でした。

しかし、いかんせん美希以外はまったく初心者で、ルールは理解していないしまともにストーンを投げることもままなりません。とりあえず出場した試合では、当然1点もとれず大敗します。何とか1点を取ることを目標に出場した次の試合では、小学生相手に苦戦。しかし、美希の最後の一投で何とか1点を取り引き分けました。

3人は1点取って大喜びでしたが、平太は美希に反則したことで怒ります。実はストーンを決められたラインを超えて手放していたのですが、美希は1点取れたのだから文句を言われることじゃないと反発します。そして、4人は喧嘩別れしてしまうのでした。

実は平太は大事な試合で、ラインを超えたことを自ら申告し優勝を逃した経験があり、そのことで今でも仲間から「常呂の恥」と呼ばれていたのです。平太は嘘をつくことより、チームとずっと仲間でいたかったのでした。

せっかく仲間としてカーリングを楽しめるようになってきたそれぞれは、自然に一緒に練習していた海岸に集まり、ついに美希も心を開き、チームとして結束を強めるのです。いよいよ北海道大会が始まり、シムソンズは勝ち進みホワイトエンジェルスと決勝を迎えるのでした。

たまたま結成直後の彼女たちに注目し、何かと追っかけ取材をするテレビ局ディレクターに松重豊、和子の母に森下愛子、平太らを育てたコーチに夏八木勲、シムソンズのたまり場の喫茶店主に高田延彦らが出演しています。

実話からはだいぶ脚色がされているそうですが、チームの4人のキャラクター分けが明快で、チームとしてまとまればそれなりに強みが出てくるところは納得です。そして、勝負も大事なのは当然ですが、何よりもカーリングそのものを楽しもうという雰囲気が心地よい作品になっています。