2009年6月25日木曜日

土日に病院が開いていない訳

テレビのバラエティで、土日に病院が開いていないのはおかしいというような話をやっていました。

横浜市都筑区ではDr.Mのクリニックを含めて、日曜日に診療しているクリニックはけっこうあります。

自分のクリニックは土曜日は夕方5時まで(平日は夜7時まで)開けていますが、日曜日は休診です。個人経営の開業医の場合は、基本的には医者が一人ですから経営者としてその気があれば休日にクリニックを開けることは簡単です。

ただし、開けることは簡単でも一緒に働いてくれるスタッフを確保することは大変。誰でも休日は休みたいと思うわけで、それはクリニックで働いている人でも変わりありません。当然人件費はかさみますが、このところの医療費抑制政策でどこのクリニックも余裕はありません。

しかし、都筑区のような新規クリニックの開業がとどまることを知らない地域では、患者サービスの充実のために休日診療も選択肢として無視できません。自分も、当初は日曜日診療というのを考えないわけではありませんでしたが、自分にも家族がいて責任がある以上、すべてをクリニックのためだけに費やすことはできませんでした。

平成20年4月の診療報酬(国が決める保健医療の値段)改定では、勤務医の負担を減らすために開業医が夜間・休日に診療を積極的にするように3割負担の方で150円の加算がつけられました。

うちの場合は土曜日の午後についてはこの加算を加えていますが、現実には明らかに患者さんが減ったという印象です。それまで午後に来ていた方が、午前中に来るようになって午後はゆったり。もちろん150円なら、ゆっくりできる午後の方が良いという方もいらっしゃいますが多くはありません。

このあたりは、国の考え方はピントがずれていると言わざるをえない。加算というやり方では、何も良くできないということは、今までにも何度となく経験しているはずなんですけどね。

それに比べて、病院の場合は事情がだいぶ異なります。医者だけが日曜日に働くというわけにはいかず、医療を行うために必要なスタッフの数は開業医の比ではありません。

また、さまざまな外注で行っていることもあり、それらの業者が日曜日でも営業していなければならない。医療に対する目が厳しくなって、ささいなミスも許されないような状況の中では責任を持てる体制が確保できない限りおいそれと休日診療はできないでしょう。

開業医でも同じことは言えますが、365日24時間緊張し続けて医療を行うことは人間として不可能だと言えます。ですから、日頃の診療に力を入れられるように、逆に土日にしっかりと休みをとるということは必ずしも非難されることではないと思うんですよね。

医者に関しては、開業医でも勤務医でも個人の技量による部分が多い仕事なので、誰かが変わってあげられる仕事とは違うという点を無視できません。医者のおごりと取られるとつらいのですが、それだけ大きな責任を負っているということです。

自分は昼休みでも夜でも、自分がクリニックいる場合は可能な限り患者さんを受け入れているつもりですが、さすがに現状での診療時間が肉体的・精神的・経済的にも一杯のところだと思っています。

そんなことを考えながらバラエティを見ていても、まぁ面白くも何とも無いわけで、結局パソコンに向かってしまうわけでした。