2009年6月7日日曜日

Pierre Fournier / J.S.Bach Cello Suites

高校生から浪人していた頃にヴィスコンティ監督の映画にはまっていた時、音楽にクラシックが多用され、しかもチェロの響きが印象的だったせいもあり、その頃からチェロのおちついた音色が好きでした。

レコードからCDに移行し始めた80年代にいくつか数少ないクラシックのCDを購入しましたが、そのほとんどがチェロ作品でした。その中で、たまたま何の前知識もなく購入したのがフルニエの無伴奏。

ピエール・フルニエ(1906-1986)は、フランスのチェロ奏者で、「チェロの貴公子」と呼ばれロストロポーヴィッチよりも少し古い。今から考えれば、恐れ多いことに十分すぎるくらいチェロの巨人だったんです。

バッハの無伴奏チェロ組曲はもともと練習曲という意味合いから、20世紀になるまであまりかえりみられていなかったそうです。

それを、チェロ奏者にとっての聖典として一気に脚光を浴びるようにしたのは、巨匠カザルスの功績であることは疑いもありません。ただ、自分のようにいい加減なクラシックファンは、わかっているけど戦前の古い録音を一生懸命聴く気になれません。

フルニエは何度も録音があるのですが、偶然手に入れたのは70年代のもので、現在は廃盤なのかHMVでもAmazonでも手に入らないようです。チェロしかないのに大変深みのある音空間にえらく感動したものです。

これが当然バッハの無伴奏チェロの自分にとっての規範となるわけですから、他の演奏を聴く時にはどうしても比べて善し悪しを決めてしまいます。しかし、デュ・プレの若い力も、ヨー・ヨー・マの力強さも、ビルスマの古楽器の魅力も今のところフルニエの上にはいきません。