2018年6月7日木曜日

第23回 田園都市リウマチフォーラム


年3回のペースで続けてきた田園都市リウマチフォーラムは、昨夜で23回目。

大きな学会、研究会は別として、この手の限定した地域の小さな勉強会としては、けっこう続いている方だと思います。

実質的な運営は、自分たちのような世話人だけでは、なかなか困難なので、製薬会社の協力が不可欠。もちろん製薬会社も、自社製品の情報活動の一環としてメリットがあると考えてくれるから共催として動いてくれます。

ただ、そこで製薬会社の製品に限定したテーマだけになってしまうと、会の内容は限定されて実地医家にとっての価値が少ない会になってしまいます。

そのあたりのバランスが難しいところですが、できるだけ実際の診療の中で必要と思う内容を勉強することを目的にするというスタンスは堅持されてきたと思います。

今回の講演も、まさにそんな話。小児リウマチがテーマです。

通常、自分たちが携わっているのは成人に発症する「関節リウマチ」なのですが、小児期に発症する関節炎を主体とする病気もあって、そのまま大人になれば関節リウマチと基本的には同じ病態です。

当然、こどもに起こる問題は小児科で診療することになるので、小児期のリウマチは我々が直接診療する機会はほぼ無いと言えます。

ですから、積極的に知っておかなければ困るわけではありませんが、大人になって通常のリウマチ科へ通院する患者さんはいるわけで、まったく知りませんでは済まされない。

講演をしていただいたのは、国内で小児リウマチについては知識・経験がトップクラスの日本医科大学の伊藤保彦教授です。

伊藤先生の基本的な立場は、リウマチ科、膠原病科、整形外科とかではなく小児科の先生です。大変優しい物腰の先生で、積極的に話を理解してもらおうとする態度が明白な講演だったと思います。

小児科医の仕事は「9割はかぜ」で、「かぜかかぜじゃないのかを見分けることが大事」とのこと。そうは言っても、残りの1割に、全身にわたる様々な病気が含まれるから大変です。小児リウマチは、その1割の中のごく少数。

大人と違って、患者さん本人だけでなく親も相手にしないといけないので難しいのではと質問したんですが、その答えは「確かに難しいところもありますが、病院から出れば親は必ず子の面倒を見てくれるから大事」というものでした。

確かに、逆に親のことに付いてきて口を出す子はいますが、実際の世話はせず、施設や病院に任せっきりという例は少なくはありません。小児科では、親はこどもの病気と闘うための信頼できる仲間だということ。

おそらく話したいことがたくさんあって、その中でもエッセンスを絞り出した講演だったと思いますが、伊藤先生にはまだまだたくさんの引き出しがあることは明かでした。また、更なる続きの話をしていただきたくなる講演だったと思います。