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2018年6月8日金曜日

レンズ沼2018 (7) 標準単焦点


どうしても、1本で様々な焦点距離に対応できるズームレンズの便利さに目が行ってしまうのは、素人の紋章みたいなところ。

いいじゃないか、ズームで。そんなに何本ものレンズを日常的に持ち歩くわけにはいかないんだから、と開き直ってみますが、多少は初心者から抜け出たいという気持ちも捨てがたい。

で、写真に詳しい人に言わせると、「一眼レフの醍醐味はレンズ交換。レンズと言えば単焦点」ということになる。ズームと違って、単焦点レンズは一定の画角を動かせないわけですから、撮りたい構図を自分の足を動かしてファインダーの中に持ってこないといけません。

それが面倒だと言ってしまえば、そこで話はおしまいです。単焦点レンズを使用する場合は、シャッターを切る時点で、自分の撮りたい写真がある程度出来上がっている必要があるので、より無駄にシャッターを切らなくなります。

それだけ意識して写真を撮ることになり、それがただの素人がカメラを構えるのとは一味違うことにつながります。でも、そんなに難しく考えることはありません。

何故なら、20世紀まではみんなが使った「写ルンです」のようなフィルム装填済みバカチョンカメラは全部単焦点レンズだった。デジタルと違って、一回一回のシャッターだって、けっこう考え抜いて押したはずです。昔は誰もがやっていた撮影法に戻るだけの話。

でもって、広角から望遠域まで、いろいろな単独の焦点距離のレンズが各社から発売されています。その中で、焦点距離50mmというのが、人の眼の見え方に近いという理由で「標準」とするのが一般的。

実際はもう少し広角側の方が、写真らしい感じになるとも言われています。とはいえ、各社とも50mm単焦点レンズは「撒き餌レンズ」と異名を取るほど価格を安くしてレンズ沼におびき寄せる餌にしています。

最初から初心者でないという猛者なら見向きもせずに別のレンズを購入するのもあるかもしれませんが、確かに安くてかなり高性能で、いろいろな撮影に使いやすいことは間違いないので、一本は持っていて困ることはありません。

APS-C機のD7200を使っていた時は、SIGMAの30mm F1.4 DC HSM Artを使用していました。30mmですが、実際はフルサイズ換算で1.5倍の45mmですから、ほぼ標準単焦点と呼べるもの。

Artラインのレンズで、F1.4と明るいだけあって、たぶんその写りは素晴らしいものだと思います。ただ残念なのはAPS-C専用レンズなので、フルサイズ機では四隅にケラレが出てしまうので使うことができません。

Nikonの撒き餌レンズはAF-S NIKKOR 50mm f/1.8Gということになると思いますが、中古だと1~1.5万円で手に入ります。当然、コストパフォーマンスは高く、おススメのレンズとしてたいてい推薦されています。

ただ、どうせなら・・・このどうせならというのがレンズ沼にはまっている証拠みたいな気持ちなんですが、どうせなら少しでも明るいレンズが欲しいということになる。


無いならしょうがありませんが、あるんですよ、f1.4のレンズが。それがAF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gということで、中古の値段は3万円ちょっと。1.4になるだけで、ボケの美しさの違いは初心者でもわかります。どうせ買うならこっちでしょう。

いつものとっちらかった食卓の上に罠とグラスを並べただけの写真なのに、美しい無理のない前ボケと後ボケで、ちよっとおしゃれなラウンジで撮ったかのような雰囲気になってしまいます。

この感じをズームレンズで出すのはかなり大変です。プロの写真家は、いろいろなテクニックで何とかするかもしれませんが、素人でも明るい単焦点で簡単にできるのが嬉しい。

ズームに比べるとレンズの構造が単純化されるので、小さくて軽くなるという利点があるのですが、どうも最近は明るさを求めて高級化・大口径化の傾向にある。

それは特にSIGMAのArtラインに顕著です。たくさんの種類の単焦点が登場していますが、どれも1kgくらいの重量級で、単焦点大好き人間でも何本も持ちあることは無理っぽい。やはりArtラインの素晴らしさは認めつつも、何か違う方向に向かっている感は否めません。

その点、NikonのAF-S NIKKOR 50mm f/1.4Gは、Nikon最新のスペックの物ではありませんが、300g弱という軽さは特筆すべきポイント。ちょっとポケットに入れておくこともできるので、ここはという時に簡単に登場させることができます。

とにかく、持っていて絶対に損が無い一本。単焦点が好きになったら、ここから広角側、望遠側にお気に入りの画角を探してみるのがよさそうです。