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2018年8月3日金曜日

「いい写真」って何だろう (2) テーマ

f/4 1/1000sec ISO-100 190mm

一枚の写真を見た時、その写真が何を現したいのか、あるいは何を撮りたかったのかが見えてくることは重要なことだろうと思います。それは写真のテーマは何かということです。

それが、どかーんとしっかり写っている場合もあれば、時にはさりげなく写真を見る人の想像力を刺激することで浮かんでくる場合もある。

「写真は引き算」という言葉があって、できるだけ無駄なものは入れずに写したいと思ったメインのものに集中する画作りがよしとされます。いろいろなものが写り込んでいると、いったい何を撮りたかったのかが希薄になる。

ですから、シンプルな構成で伝えたいものを明示的、あるいは暗示的にはっきりさせる写真の「テーマ」というものがあった方がいいんじゃないかと思います。

上の写真は、テーマは「いつも見慣れた光景で今年の酷暑を表現する」ということにしてみました。いつものクリニックから見える駅前のバスロータリーの様子で、スペシャルなところはありません。まさに日常の一コマにすぎません。

ここでは、あえて横ではなく、縦に写してみました。自分は、ふだん、ほとんど縦構図の写真は撮ったことがありません。これは、普通にカメラを構えるとデフォルトが横なので、縦に撮るの面倒だということがあります。また、人の視野は左右に広がるのが自然なので、横構図の方が見慣れた雰囲気を作りやすい。

人の視野は左右と同時に下に向かうものなので、最初に自然に目が行くのは下1/3くらいだと思いますが、そこにはぼけた木が写っているだけ。縦構図にしたので、そこから視点を意識的に上に導ていくことができるわけです。

真ん中あたりを見ると、アスファルトや停車している車の照り返しがきついこと、影のくっきりとした感じで、今年のものすごく強い夏の日差しがわかると思います。そして、駅前なのに暑さのために人通りはほとんどなく、視点をさらに上にしていくと、やっと歩道橋の上の日傘をさして歩いている人がいることに気がつきます。

縦構図にした理由のもう一つは、望遠で画角を狭くすることでよけいなものを写さないようにしたため、横より縦の方がより奥行きを強く出せるためです。写真としてはコントラストをきつくして、白飛びを恐れず照り返しの強さを出したつもり。

事前にテーマを決めておいたことで、どういう写真を撮りたいのかがはっきりして、ありふれた景色も「写真」らしく仕上がった気がします。