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突然ですが、急に思い出した言葉で、「うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと」というのがあって、これは日本の推理小説の草分けの一人である江戸川乱歩が好んで色紙に書いたもの。
うつし世は現実世界のことで、現実が嘘で、嘘が現実みたいな、本当のものなんてどこにもないという、乱歩らしい不思議さが凝縮した「名言」です。
写真は、本来あるがままの実態をそのまま写しして記録するものです。ところが、日常のなかの一瞬に「あれっ?」と思うような光景はところどころにあって、それをうまく切り取ることができれば、なかなか面白い写真になりそうです。
この写真は、どれが実態で、どれがガラスへの反射なのか、ちょっと見るとどこまでがカメラの前に実際にあるものなのかわからない感じが楽しい。外から中を覗いているのか、中から外を覗いているのか、知らずに見るといろいろと想像できそうです。
ここでのソール・ライター視点は・・・まず縦構図。ライターの写真は縦が多いのですが、横への広がりがわかりやすい横構図と違って、縦構図は高さの表現とか奥行き感が出しやすい特徴があります。
ガラスを通して向こう側を見る、あるいはガラスに反射してカメラが向いていないものを見るというワンクッションもライターっぽいところだと思います。
タイトルはやや大げさですが、夢なのか現実なのかみたいな感じで「嘘か真か (True or
False)」ということにしておきます。