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2018年8月8日水曜日

「いい写真」って何だろう (7) ディテール

f/7.1 1/100sec ISO-100 140mm

まぁ、いろいろと考えも、写真にまっとうな意味付けをするなんて10年早い。そもそも、写真を撮る技術そのものがちゃんとしていないと、何を語っても机上の空論みたいなもの。

例えば、フリージャズと呼ばれる、何か音程とかリズムとか無視して無茶苦茶に音をだしているだけみたいな音の洪水みたいなねのがありますが、ベートーヴェンをちゃんと弾ける山下洋輔がやるのと、楽典を何も知らないド素人がただピアノを叩くのとは根本からして違います。

どんなことでも、確かな基本を身に付けた上で、応用として初めて個性の上乗せが成り立つものです。基本の裏打ちが無いものは、「素晴らしい感性」などと褒められる場合が有りますが、それは偶然であり、奇跡みたいなもの。

この写真は、撮る前に意図したものをかなり忠実に再現できたので自分としては満足度が高いもの。カメラの設定も無理が無い。暗い屋内から、明るい戸外にカメラを向けているので、逆光気味の光。絞って光量を下げた分、フォーカスが締まりました。

古民家の軒先にぶら下がった風鈴に、がっつりとピントが決まっています。三分割法の構図で風鈴の立体感が浮き出ている感じがします。茅葺屋根の端が写ることで、どういう場所かも想像できる。背景もきれいにボケて、主題である風鈴を目立たせることに成功したと思います。

以前の様にオート中心の設定でシャッターを切っていたら、たぶんこういう写真は撮れない。マニュアルの撮影だからこそです。こういう場合に、「ディテールがうまく再現された」という言い方をします。

Detail とは、細部とか詳細という意味ですが、写真では被写体の細部がきっちりと写り質感が再現できている状態の事。つまり、ピントがしっかり合っていて、白飛びせず、黒潰れもしていないベストな状態です。

絞りは開くほど入ってくる光が多く、f値が小さいほど高価で良いレンズとされます。でも、光量が多い分、被写界深度は浅くなりボケやすいのですが、ピントは合わせにくくなる。絞りを絞っていくと、ピントは合いやすくなりますが、そのかわりシャッター速度を長めにするためにぶれが生じやすくなる。結局、マニュアルでの設定のバランスの問題ということ。

明るい写真のほうが見やすいことがおおいのですが、白飛びしたところは画像のシグナルが無いので、あとで現像で修正というのは難しい。黒潰れのほうが、まだ調整が可能な場合があります。

また、現像ソフトには「シャープ」というメニューがありますが、安易に使うとノイズが目立ってしまうだけです。「アンシャープマスク」は、色の違いや、その濃さの差が大きいところをくっきりさせて輪郭を無理なく際立たせるもの。よりエッジの検出を細かく設定できるのが「スマートシャープ」です。

現像作業では、これらの機能を利用して多少の補正は可能ですが、最初の写真がだめならどうやってもダメはダメ。ですから「いい写真」と呼べる写真を撮るためには、使用するカメラやレンズの特性をしっかりと理解して、撮影の基本テクニックを身に付けることは大切だろうと思います。