田園都市リウマチフォーラムは、自分が世話人の一人に連なる、関節リウマチ及び周辺疾患を勉強するための会。地域での病診連携、診診連携をスムースに行うために、顔がわかる交流にも寄与したいということで始めたもの。
年に3回を基本に開催し、主として世話人が相談した「リウマチ診療の今にはこの知識が必要」と思えるテーマに沿って最適な講師を招いて講演をしてもらい、また普段の診療で疑問に思うことをディスカッションする内容で、これまでに23回行ってきました。
昨夜は定例の会とは別に、製薬会社主導で番外編的な講演会を行いました。これはこのフォーラムが回を重ねるにしだがって、地域のリウマチ関連研究会として着実に根を張り、対外的にも認められる勉強会になって来たということだと理解しています。
2010年にこの会が始まってから、実は番外編はこれで4回目なんです。過去には、最初は一般向けの啓蒙的な講演会、2度目は関節エコー検査実技を習得するための研修会、そして今回の様に製薬会社からのリクエストによる薬の解説を主体とする講演会がありました。
この場合は、製薬会社の意向に沿って、やや宣伝的な内容に傾くのはしかたがないところですが、田園都市リウマチフォーラムの名前を冠して行うからには、少なくとも演者については世話人の意向を反映していただきました。
今回の講師は東邦大学大森病院の亀田先生で、リウマチの病態の基本に大きく関わるサイトカイン研究の第一人者で、各地の講演会に招聘される多忙な先生の話は大いに刺激を受けることがたくさんありました。
自分はよく患者さんに「どんな薬も2~3割の方には効果が出なく、それは使ってみないとわからない」というような話をするのですが、亀田先生の話から実はそれは「どんな薬も8割の人に効く様に作られ、効くかの事前の判断はできないわけではない」ということだったということが理解できました。
これは、けっこう衝撃的なことです。リウマチで病気に関係したサイトカイン濃度を測ると、患者さんによってその幅はかなり広く、そのすべてに効果が出るように薬の濃度をデザインすると、大多数の患者さんには量が多くなりすぎます。
そこで、薬は7~8割程度の患者さんに十分な効果が出るような量に調節されているということ。そして、本来はターゲットになるサイトカインの種類と量を特定し薬を選択すべきところなんですが、現実には簡単に計測する方法が確立していないわけです。
最近のリウマチ薬は効果は絶大ですか価格も高く、事前に患者さんごとに最適な薬を使用前から確定できる方法があれば、医療経済的にも大変効果的だと思っていますが、複数のサイトカインを低価格で簡便に計測するキットの開発は絶対に必要だと思います。
次回は10月に定例会です。まだまだ勉強しないといけないことは、いろいろありますね。