f/4 1/250sec ISO-200 120mm
「決定的瞬間」ということばがありますが、実はこれは写真好きなら知らぬはずがない、フランスの巨匠アンリ・カルティエ=ブレッソンの1952年の写真集のタイトルから使われるようになったそうです。
写真は基本的に現実のある瞬間(moment)を記録するものですから、誰もがはっとして注目したくなるようなある瞬間をうまく切り取眼事ができれば、それも「いい写真」の一つとして成立しそうです。
特に報道写真などではその傾向は強く、ロバート・キャパによる「崩れ落ちる兵士(1936)」、ジョン・ローゼンタールによる「硫黄島の星条旗(1945)」などは、写真に興味が無い人でも「決定的写真」として知られていると思います。
さすがに、決定的とまで言えるほどのシャッター・チャンスは簡単には訪れることはありませんが、おっと思う瞬間はけっこうあるものです。
上の写真はたいした写真ではありませんが、たまたま目の前をセミが飛んでいき、「何処に行くのかな」と思って目で追いかけていったら、よその家の玄関の扉の横にとまりました。それが玄関灯と対称な位置だったので、思わずカメラをむけてみたというもの。
スタジオ・ワークや、ポートレイト撮影を中心にカメラを使う場合は、「瞬間」は撮影者が自ら用意するわけですが、それ以外では写真に残したくなる「瞬間」にたまたま遭遇するか、「瞬間」が訪れることを予想してじっと待つしかありません。
偶然で遭遇するのはチャンスをいかに逃さないようにするしかありませんが、偶然を呼び込むためには何かを予想して観察する目が必要です。そこを歩いている人をじっとファインダーの中で追っかけていくと、次の瞬間転ぶかもしれませんからね。