f/4 1/800 ISO-800 18mm
もう、考えれば考えるほど、「いい写真」って何だろうという悩みの答えはわからなくなってきます。そもそも、仮にわかったとしても、それを実践することはけっこう大変難しいことだろうと思うし。
写真に限らず、物事の良し悪しは主観的な評価です。時代によって変化するし、集団によっても違ってくるわけで、絶対的な「いい写真」の正解なんてものは存在しないだろうと思います。
少なくとも、アマチュアの自分の場合には、「いい写真」の定義は自分で決定しても誰にも迷惑をかけることはないだろうと思います。だから、自分が面白いと思うのが「いい写真」である、という曖昧な答えにしておけば悩みからは開放されやすいかもしれません。
じゃあ、自分が面白いと思うのはどんな写真なのか・・・
上の写真は一例ですが、横浜赤レンガ倉庫の写真を「横濱赤煉瓦倉庫」にしてみたというもの。つまり、加工ばりばりですけど、いかにも赤レンガ倉庫が倉庫として活躍していた時代の雰囲気を自分なりに表現してみたということ。
いじっていない元の写真もお見せするとこんな感じ。
まずはカラーを取り除いてグレースケールにしました。続いて、カラーに戻して全体をセピア調にして、周辺減光を積極的に出します。コントラストをきつめにして、ノイズを加えてディテールをつぶしたわけです。
これのどこが面白いのかというと、明治時代にタイムスリップして、鹿鳴館みたいな感じの人々が建物の前の通路を日傘をそしてそぞろ歩いているようなイメージが湧いてくるというもの。さらに、荷車を引いて走ってくる人足がいるかもしれないし、人力車も通るかもしれません。
何か、そういう、一枚の写真から物語が想像できるような感じが面白さにつながるように思います。「わー、きれい」、「これはすごいね」だけで終わってしまうんじゃつまらない。下の元写真だと、「ふ~ん、赤レンガ倉庫に行ったんだね」でおしまいです。
本来は、写真を撮った時点で出来上がっているのが一番いいとは思いますが、時にはこういうデジタル現像による加工もある程度は許されるのではないでしょうか。
これは、シャッターをやみくもに切るのではなく、その前に一瞬でもどんな写真を撮ろうとしているか想像しておくことが大切なのかもしれません。撮ろうとしている写真から、どんなストーリーが生まれてくるかを考えておくだけで、出来上がった写真の面白さが格段と増えていきそうな気がします。
もちろん、そのためにはテクニックはできるだけあった方がいいし、機材もいいものを使うにこしたことはない。でも、ダメダメの写真でも、その写真から何かのストーリーを想像できるなら十分に面白いし、そういうのが「いい写真」と呼べるのかもしれません。