2019年3月29日金曜日

真夏の方程式 (2013)

東野圭吾原作「ガリレオ・シリーズ」から映画化第2弾として、前作(容疑者Xの献身、2008年)に続き西谷弘が監督、福山雅治主演で作られました。

美しい海が誇りの玻璃ヶ浦で、海底資源開発のための住民説明会に出席するための列車の中で、物理学者・湯川学(福山雅治)は小学生の柄崎恭平( 山﨑光)と出会います。湯川が宿としたのは、川畑一家が営む緑岩荘で、恭平は一家の親戚として夏休みを過ごすためにやってきたのです。

恭平は美しい海の中を見たいけど、泳げないし船も無いから無理といいます。湯川は、理科は嫌いと言う恭平に、真実の探求の大事なことを教えるために、ペットボトルロケットを作って飛ばし、何度も何度も実験を繰り返して、中に仕込んだ携帯電話のカメラを通して海中を見ることに成功します。

16年前に当地に移ってきた川畑家は、足の悪い父親、重治(前田吟)と母親の節子(風吹ジュン)、そして海底開発反対派の急先鋒である娘の成実 (杏)の三人暮らし。実は彼らは、絶対人には言えない秘密を抱えていたました。

元刑事だった塚原(塩見三省)も、何かを確かめるために同じ宿に宿泊していましたが、朝になると変死体となって発見されました。東京から岸谷美砂刑事(吉高由里子)が派遣され、この事件への協力を湯川に依頼します。

2013年4月期に連続ドラマとしての「ガリレオII」か終了してすぐの公開ですから、おそらく撮影開始は映画が先に作られ始めたと思います。主人公湯川の相棒は、柴咲コウ演じる内海から変更されました。ですから、吉高由里子の岸谷は、映画ではまだテレビ・シリーズのようなキャラは立っていません。

ガリレオ・シリーズは、基本的な構成は犯人が初めからほぼわかっています。この映画でも、川畑一家の秘密が深く関与していることは明白ですが、本当の犯人が誰か、そしてその殺害方法についての解明は、湯川が積極的に関与していきます。

普段はこどもが苦手な設定の湯川が、恭平とは交流し、恭平のために積極的に動くのはキャラクターとしては例外的ですが、その中で事件のカギがいろいろと提示されていく流れは、やはり原作のプロットのうまさです。

美しい海の撮影は西伊豆で行われ見所ですが、湯川の大学実験室は登場せず、今回の映画では予備知識無しだと湯川の立ち位置は理解しにくいと思います。全体としてうまくまとめ上げているのですが、家族が抱える秘密が美しい海を守ることにつながってくるとはいえ、海底資源開発の話が浮いている感は否めない。

映画第1作と違い、シリーズを見て楽しめた方が、変人湯川の意外な人間性を確認することを楽しむ映画なのかもしれません。また、ブレーク前の杏の健康美にも注目です。