アーマッド・ジャマルというピアニストは、不思議な存在のピアニスト。本来はFritz Russell Jonesという名前だったのですが、20歳でイスラム教に改宗し本名を変えています。
オスカー・ピーターソンやフィニアス・ニューボーンのような超絶技巧派とは逆で、強いて言うならセロニアス・モンクのような、間をうまく利用して、独特の雰囲気を紡ぎだす演奏が特徴的です。
はまる人とはまらない人に分かれやすく、全体的にはあまり話題にならないのですが、人によっては絶賛することもしばしば。
ただし、マイルス好きには有名な存在。というのは、マイルスが50年代にジャマルを高く評価していて、レッド・ガーランドにジャマルのように弾けみたいなことを言ったなんていう逸話があったりする。
そういう流れで手に入れたのがこのアルバムで、実際ジャマルの長いキャリアの中でも最も売れた、そして実際名作の誉れが高い作品になっています。
一つのフレーズにこだわったり、流れを中断するようなメロディを弾ききらないところ、あるいはメロディを間引いたりするのが面白い。大袈裟に言えば、聴く側には、「行間を読み取る」力が要求される。
確かにマイルスも、バリバリに吹きまくタイプではなく、こういうピアノに共感するというのは理解できるような気になります。
これはクラブでのライブで、後にこの時の録音の残りが発売されていて、合わせて聴くのがよいかもしれません。ただし、ジャズの音楽としての「ノリ」みたいなところで評価すると、ちょっと物足りない感じもするのですが、このあたりは個人の感性しだいというところ。
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