2020年8月6日木曜日

Thelonious Monk / Blliant Corners (1956)

ジャズ・ピアノの分野で、圧倒的な異彩を放つ人物が、セロニアス・モンク。

多くのスタンダードになった名曲を生み出したにもかかわらず、自らの演奏スタイルは独特すぎて、モンクの前にモンク無し、モンクの後にもモンク無しという感じ。

モンク作の「ラウンド・ミッドナイト」はマイルスの代表的なレパートリーであり、ある程度有名なミュージシャンで演奏していない人はまずいないくらい有名曲です。

マイルスとの「クリスマスの喧嘩セッション(1954年12月24日)」と呼ばれているエピソードも有名。マイルスと音楽性が合わないためか、単なる不機嫌か、単純にフレーズが思いつかなかったのか、モンクはソロの途中でぴたっと手を止めてしまい、いらだったマイルスがトランペットで乱入してくる模様がレコードになっています。

他にもエピソードに事欠かない「変人」であることは間違いないのですが、ジャズだけではなく音楽界全般に影響を与え、例えばジェフ・ベックのようにロック界で演奏したり、曲名に「セロニアス」と付けてトリビュートしていたりします。ドキュメンタリー映画の監督は、なんとクリント・イーストウッドでした。

モンクの演奏は、緩急、強弱だけでなく、極端に音を減らした多彩な変化を散りばめたもの。不思議な間があり、時には不協和音を混ぜ込んで弾かれるアドリブは、ジャズの中でも孤高の世界を生み出しています。

そこがはまると、「くぅ~、もうたまらん」ということになるんですが、正直言って自分は苦手。何か素直に音楽に乗れない。まぁ、そこは好き好きですから許していただくとして、間違いなくジャズの巨人の一人。

モンクの代表作はいろいろありますが、自分があまり聴きこんでいないので、一般によく出てくる「ブリリアント・コーナーズ」あたりが無難な選択かと。不思議な世界にどっぷりはまりたい方は1954年のソロがおすすめかもしれません。

「ブリリアント」は、ソニー・ロリンズ、クラーク・テリー、マックス・ローチなどのジャイアント集結で、有名になったオリジナル曲中心に収録されていてモンク・ワールドを堪能できます。モンクを大好きになるかどうかの踏み絵としても最適かもしれません。