2020年8月2日日曜日

Tommy Flanagan / Overseas (1957)

ジャズ・コンボで、一般にピアノ、ベース、ドラムは伴奏が任務のリズム・セクションと呼ばれます。ベースとドラムは、確かにそうなんで、下手にソロを取られると興醒めということが少なくない。

一方、ピアノは伴奏楽器としても独奏楽器としても活躍するオール・ラウンダーです。ピアニストにはソロで映える人、裏方に回って輝く人、どっちでも臨機応変に活躍できる人などがいます。

フラナガンは、どちらかというと伴奏者として活躍した人で、後年はエラ・フィッツジェラルドの歌伴として有名でした。もともと、コルトレーン、ロリンズらの有名アルバムで参加していて、50年代後半から60年代前半は、気がつくといつのまにか何枚かのレコードで演奏が聴ける。

どんな楽器、あるいはタイプのミュージシャンとも、うまく合わせられる演奏スタイルは特徴が無いという言い方もありますが、優れたセンスの持ち主でそれぞれもアルバムでそれなりの存在感を残しているところは捨てがたい魅力です。

自己のリーダー作はけっこうありますが、あえて取り上げるものは多くはありません。ただし、初リーダー作である「オーバーシーズ」は、ピアノ・トリオの名盤として、必ず選出されます。

基本的にはシングル・トーンで軽やかなメロディを奏でますが、盛り上がりではブロック・コードを多用したり、弾きすぎず弾かなすぎずのバランス感覚はすごい。

また、スタンダードで始まり、のりを掴んだところで、オリジナルでたたみかける構成も見事です。ドラムの若きエルビン・ジョーンズもここでは雰囲気を壊さず好演しています。