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2023年2月21日火曜日

Claudio Abbado / J.S.Bach Brandenburg Concertos (2007)

愛好家ならずとも、誰もが一度は耳にしたことがあるクラシック音楽の名曲の一つに「ブランデンブルグ協奏曲」があります。作曲者は、これまた超有名なのヨハン・セバスティアン・バッハ。1721年にブランデンブルク=シュヴェート辺境伯に献呈されたため、そう呼ばれるようになった全6曲からなる合奏協奏曲集です。

バロック音楽を得意とするオーケストラでは、レパートリーからはずすことなどありえないくらい必須の名曲ですし、実際録音された音源の数は数えきれないくらいあります。

古楽系の集団では、ラインハルト・ゲーベルの80年代の録音は個人的にはお気に入り。イ・ムジチ合奏団による、いじりの無い「正当派」も悪くはありません。もともと宮殿での愉しみのために用意されたわけですから、少なくとも大編成のオーケストラで演奏されるべきものではありません。

しかし、最近はどれを聞こうかと思うと、ついつい手を出すのはこれ、クラウディ・アバドのブランデンブルグです。大指揮者のアバドですから、えっ?、なんでっ?! という感じがするとは思いますが、実に楽しく爽快な演奏はこの曲の名演として間違いなく数えられると断言します。

病気のため2002年にベルリン・フィルの音楽監督を辞任したアバドは、2014年に亡くなるので期間、大きな足かせが無くなった分本当に心から音楽を楽しむ姿勢が見えて、遺された音源は一つ一つが傑作ぞろいです。

その原動力になったのがルツェルン祝祭管弦楽団で、そのメンバーは、アバドが若い演奏者の育成のために結成したマーラー室内管弦楽団に、世界中からアバドのために集まったスーパー・プレイヤーが結集したものでした。ですから、全員が音楽を、そしてアバドを盛り上げたいという意識が非常に高く、密度の濃い演奏を聴くことが出来ます。

ほとんど同じメンバーの中から、主として古典までの古楽演奏のために編成されなおしたのが、ここに登場するモーツァルト管弦楽団で、古楽器のスペシャリストが加わり、実に凄いメンバーとなっている。

中心となるヴァイオリンは、ジュリアーノ・カルミニョーラ。そしてリコーダーはミカラ・ペトリ。もうバロック音楽ファンなら、それだけでも唸ってしまうこと間違いなし。そして、チェンバロはオッターヴィオ・ダントーネと来れば、もう感動物としか言いようがない。

名人が集まれば良いというものではありませんが、ここでポイントになるのは、ミラノで行われたこのコンサートの動画があることです(YouTubeでも見れます)。一目でわかりますが、実に楽しそうに演奏している。まさに、音を楽しむというのはこのことだと思わされます。

曲の性質上、実はアバドはほとんど仕事はしていません。はっきり言って、指揮者はいなくても何ら問題ないのですが、ここは皆でアバドを囲んで美しい音楽を奏でるという雰囲気であり、アバドも聴衆の代表みたいになって楽しんでいるのが見ていて嬉しくなります。