ノルウェー、デンマーク、フィンランドときて、北欧4国の最後に残ったのはスウェーデン。スウェーデンと聞いて、真っ先に思い出す作曲家と言えば・・・ビョルン・ウルヴァース、というのは冗談(ABBAのメンバーです)。自分的には、歌手ですが、アンネ・ゾフィー・フォン・オッターの出身地というのがポイント。
スウェーデンにはBIS Recordsというクラシック・レーベルがあって、特に日本人アーティストも比較的たくさんアルバムを作っているのでなじみ深い。特に鈴木雅明のカンタータ全集などを手掛けているし、ピアニストでも小川典子なども活躍しています。当然、北欧物はこのレーベルを外すわけにはいかない。
ただ、残念なことにスウェーデンの作曲家となると、よく知られた人はあまりいない。ニールセン、シベリウスらと近い時代には、ヴィルヘルム・ステーンハンマル、クット・アッテルベリという人が見つかりますが聞いたことが無い。
そこで、時代を遡って、古典派の頃。1756年、ドイツで生まれたヨーゼフ・マルティン・クラウスは、25歳の時にストックホルムの宮廷音楽家となり、多くの音楽を生み出しましたが、36歳の若さで病没。一般には、生まれた年も同じで「スウェーデンのモーツァルト」と呼ばれる存在です。実際に、モーツァルトとも面識があったようです。
当然、近世の北欧の作曲家と違い古典派らしい曲調が多いのですが、圧倒的に長調の軽快さが売りのモーツァルトと違って、やや短調の曲が多く音楽的な独特の響きが感じられるかもしれません。
ロナルド・ブラウティハムはオランダ出身ですが、現代のクラシック音楽界ではフォルテピアノ奏者として外せない存在です。フォルテピアノは、今のピアノの原型で、主として古典派の時代に使われた鍵盤楽器。一度この音にはまると、煌びやかで元気いっぱいの現代ピアノの音でモーツァルトやベートーヴェンを聞く気になりません。
当然、クラウスもフォルテピアノを使い、フォルテピアノを想定した作曲をしたはずですから、ここで聞ける音楽は250年前のスウェーデン王宮で鳴り響いていただろう音ということになります。