何しろヴィヴァルディの「四季」は知名度の高い人気曲ですから、ヴァイオリン奏者にとっては一定の顧客を掴むことが見込める大事なドル箱であることは否定できません。新人にとっては、自分の名前を世間に知らしめるのに大変都合が良い。
ユリア・フィッシャーは1983年生まれで、現代女流ヴァイオリン奏者としてはトップ・クラスの実力と人気を誇っています。
十代から様々なコンクールで優勝をさらい、2004年にCDデヴューをしましたが、実はその3年前に収録された「四季」のDVD映像があります。
なんと、2001年ですから、フィッシャーは18歳という若さ。イギリスのウェールズ国立植物園で、園内に特設ステージを組んで、四季折々の美しい光景を交えながらの演奏はなかなか堂々としたものです。
一緒に演奏するのは、Academy of St.Martin in the Fieldsのメンバーで、実力派揃いで手堅くサポートしています。内容は、まさに正統派、よけいな遊びはありません。ただ、きびきびとした若さがはじける爽快な演奏です。
見方によっては、新人を売り出すためのMV。実際、美しい自然の風景や、音楽の邪魔にならない程度の環境音もところどころに混ざっていたりします。
しかし、実際のヴァイオリンの実力が素人目にもものすごくわかり、この曲の正統派演奏としてはベストにあげたくなる内容です(おじさん的には、ビジュアルの良さも忘れてはいけないポイントですが・・・)。