ドビューシー、ラベルらの印象派と呼ばれる、いかにもフランスらしいクラシック音楽が主流になる前の中心人物の一人と言える存在なんです。
じゃあどんな曲があるのと問われると、たぶんヴァイオリン・ソナタ一択というところ。ヴァイオリン・ソナタ以外には何があるのかと言われても、よほどの愛好家でないと答えられそうもありません。
クラシックのヴァイオリン奏者では、フランクのソナタを弾かないという選択肢は無いかのように多くのCDが発売されています。また、そのままチェロで演奏されるように転調・編曲されたバージョンも普及していて、多くのチェロ奏者も重要なレパートリーと位置付けているようです。
人生の多くをピアニスト、教会オルガニストとして過ごしたフランクが、作曲に本腰を入れたのは中年になってからなので、作品数がそれほど多くはありません。それでも、交響詩、ピアノ独奏曲、オルガン曲、オラトリオなどのある程度の作曲があります。
このアルバムは、CD2枚で残された室内楽作品を「だいたい」網羅したもの。1枚目は弦楽四重奏曲、2枚目はピアノのパスカル・ロジェが加わり、ピアノ五重奏と必殺のヴァイオリン・ソナタという構成です。
もともと鍵盤奏者であるフランクですから、かなり弾きこなすのに技巧を必要とするピアノ曲があるようですが、室内楽の伴奏部分でもピアノ奏者は指の筋トレをしているかのような難易度があるらしい。
ここでは、弦楽四重奏とピアノ五重奏に注目するわけですが、うーん、正直に言うとあまり面白くない。個人の好き好きなので、ご容赦いただきたいのですが、特徴的な半音階多用によるやや不協和音的な響きが続き、もやもやした印象がずっと続く感じ。
まぁ、コレクターとしては一度は聞いておくべきもので、フランクの曲の中ではヴァイオリン・ソナタが人気を維持できているというのも理解しやすくなるかもしれません。