いかにもクラシック音楽通みたいな話ばかりしていても、所詮楽譜をまともに読めるわけではないし、ましてやヴァイオリンやピアノを弾けるわけでも無い。多少は嗜んだと言えるのはギター。とは言え、クラシック・ギターともなると・・・
ドイツがクラシック音楽の中心になってからはないがしろにされてしまった感がありますが、クラシックの世界でもギターは登場するわけで、特にバロック期から古典期のイタリア音楽では普通に使われていたようです。
イタリアのナポリで1781年に生まれたマウロ・ジュリアーニは、クラシック・ギターの巨匠の一人。ギター以外の弦楽器も勉強した後の二十代なかばにウィーンに移り、作曲活動も開始しました。ベートーヴェンにも一目置かれる存在でしたが、40歳頃にローマに移り少しずつイタリアでも知られるようになった1829年、48歳で亡くなっています。
自己のオリジナルによるギター作品だけでなく、他の作曲家の有名曲を基にした変奏曲も多数作り、特に有名なのがロッシーニの歌劇のアリアをふんだんに盛り込んだ「ロッシニアーナ」と呼ばれる一連の幻想曲集です。
自分はオペラはずっと苦手で、ロッシーニの歌劇をほとんど知らないので、原曲がどのように使われているのかわからないのが残念ですが、知らなくても十二分に楽しめる。本来はギター独奏曲ですが、このアルバムでは、クラウディオ・マッカリとパオロ・プリエーゼというコンビによる二重奏で奏でられ、音楽的な厚みが増しているので大変聞きやすい。
例えば、ナポリの港町の夜にバルコニーで、ギター弾きながら物思いに耽っているような映画のシーンを思い浮かべるといいかもしれません。