2008年1月31日木曜日

今日は大学で手術

このブログの最初の頃に「いつまで手術ができるのか?」みたいなとを書いたんですが、なんだかんだ言って、いまだにコンスタントに手術しているんですよね。今日は昼にクリニックを終えて、青山の女子医大の病院へ直行。この青山の病院は、ちょっとホテルっぽくてきれい。でも、中身は普通の病院なんですけど。

5年前くらいから、時々相談に乗っている30歳のリウマチ患者さんの手の変形の手術をしてきました。変形による日常生活の不便が増してくると、どうしても薬ではどうにもできないので、手術を考えることになってしまいます。特にこの方は全身性エリテマトーデスという膠原病の代表的な病気を合併していて、若いのに大変苦労しているんですよね。以前に指を動かす腱がか切れたのを直す手術をしているので、今回が2回目ということになります。

膠原病とは、内臓や骨・筋肉などを除いた結合組織と呼ばれる部分、特に血管に対して自分でアレルギーを起こしてしまう病気で、リウマチも広い意味では膠原病の一つです。ただ、治療方法が比較的独立していて、手術などのアプローチができるので膠原病の中では独り立ちしました。しかし、仲間の他の膠原病を合併することは、珍しくなく、特に全身性エリテマトーデスは特に多いと言われています。

全身性エリテマトーデスは、基本的には関節の変形は起きませんが、しばしば関節炎は起こし、その結果関節がゆるんでしまうことがあります。たいていはサポータで何とかなるので、手術的な治療が必要になることはありません。ただし、治療上副腎皮質ステロイドホルモンを多量に使うことがあるため、副作用で一部の骨が死んでしまい、手術が必要になることがあります。

一般的には、膠原病は血管炎を主体としており、血流が悪くなりやすいので、手術の時には注意が必要です。ただでさえ、手術では血管をいろいろ切ることになり血流を悪くするわけですから、できるだけいじりすぎないように注意しなければいけません。

今日は若い先生が助手に入ってくれました。若い先生と手術をするときには、できるだけ今何をやっているのか喋りながら手術をするようにしています。とりあえず、やらせてしまうという方法もありますけど、手の手術は、けっこう微妙な部分があるので、とにかく説明をするようにしています。ちゃっと聞いて、理解してくれるようなら、次のチャンスにはメスを預けることがあります。

手術は患者さんという相手がいることなので、きちんとした準備、つまり解剖学の復習、手術の術式の検討、そして実際の手術のイメージトレーニングをしていなければ、メスを持たすのは患者さんに失礼だと思います。これは自分の育てられた環境がそうだったのです。

自分も2年目の最後の方で、初めて腱鞘炎の手術をさせてもらえました。でも、それまでは多くの手術に助手として入って、上の先生から、実際に術者として手術をみているように指導されていて、助手でも手術記録を書かされ、必ず添削されました。ですから、3年目から当直で、いきなり夜中に緊急手術をするようなことになってもあわてないですんだんだと思います。

若い先生は手術ができないとつまらないということをよく言いますが、助手を完璧にこなす方がはるかに大変なことだと気がついてほしいと思います。別の言い方、いやきつい言い方をすると、助手は助ける手と書きますが、ちゃんと勉強をしてこないと邪魔手になっていることの方が多いんですね。ですから、本当の意味で助手になれるように、できる限り説明をするようにしているわけです。

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