2008年12月21日日曜日

リウマチ治療は共同作業

関節リウマチという病気は、日本では70万人の患者さんがいると言われています。この数を多いとみるか、少ないとみるかはいろいろな考えがあるでしょう。

風邪をひく方は大勢いますが、基本的には一過性のものですから、治癒ということが起きます。ですから、患者さんの数が多くて、延べ人数はすごいことになっても問題としては大きくありません。

しかし、関節リウマチは現在までのところ、発症したら一生ものの病気です。つまり、一部には自然に病気が消えたとしか思えないような場合も無くはありませんが、基本的には治らない病気、不治の病という扱いになるわけです。

ガンのような病気も不治の病という扱いをされますが、一番の問題は死に直結して寿命が明らかに短縮することにあるわけです。

ところが関節リウマチは、病気そのものは直接的に寿命を縮めることはありません(ただし、一部の合併症などの併発や、薬の副作用などの問題で寿命が短縮する傾向はあります)。

これは、別の見方をすれば、しだいに関節の破壊を起こすことによって患者さんは死ぬまで、進行する機能障害に悩まされるということですし、またガンに比べて発症する年齢が一般的には若いことも考慮すれば、より社会的な損失の大きい病気と言っても良いかもしれません。

そう言う意味で、これを診断・治療していく医者の責任というものは重大です。そして、長期にわたって同じ患者さんと接していくわけですから、そこには医者と患者の共同作業という色彩も加わってくるのです。

どんなに良い薬ができても、医者はそれを正しく使うことが必要ですし、患者さんも副作用を理解して、正しく服用することが不可欠なのです。

数ある医薬品の中で、関節リウマチ薬の副作用のニュースはけして少なくはありません。多少、政治的な配慮が感じられるところもありますが、現実に問題になるような副作用のほとんどは、医者の使い方の間違いか、患者さんの服用の誤りによるものが多いことは間違いありません。

一般的には、自分の関節に対してアレルギーを起こしているような病気ですから、そのような不必要な免疫反応を押さえ込む薬が使われるわけです。そのため、本来必要な範囲の免疫反応、つまり細菌やウィルスに対抗する力も減っていることを認識しておきたいものです。

もちろん、あまり神経質になることはありませんが、冬の寒い時期になってくるとマスクやうがいといった風邪に対する基本的な予防策は是非実行してもらいたいと思います。

治らない病気というように考えると、出口の無い迷路に入り込んでしまったかのようですが、医者と患者の協力によって、迷路をまっすぐな道に直すことはできるのです。また、最近の薬の進歩はめざましく、とにかく迷路から外に出ることも可能になってきています。

ですから、できるだけ日常生活を小さくせず、患者さんには今まで通りの生活を維持していく努力を継続してもらいたいと考えています。そのためのお手伝いができれば、医者としてもリウマチ診療を続けていく上での一番の喜びになると思います。