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2008年12月7日日曜日

Tal & Groethuysen / Schubert piano for 4 hands

クラシックピアノの世界には、「連弾」というジャンルがあるんですね。一口に連弾と言っても、4 handsという一台のピアノに二人が並んで座って低音部と高音部を分け合って演奏する物と、piano duetという2台のピアノでアンサンブルとして演奏するものとがあるわけです。

一人でなら、自分の気分で早くしたり遅くしたり、あるいは強く弾いたり弱く弾いたりという具合にいろいろな演奏を行うことができます。しかし、二人だとそんなに好き勝手に演奏することはできません。

楽器が違う場合は、お互いのひらめきをぶつけ合うこともできますが、同じ楽器であり、しかも独奏楽器でありかつ伴奏楽器でもあるピアノの場合は、ちょっと間違うと不協和音大会になってしまいます。

そういう制約をつまらないと考えるか、あるいは逆に楽しむかはいろいろ。主立った作曲家は、たいてい何曲かの「4手のピアノのための・・・」あるいは「2台のピアノのための・・・」という題名の曲を作っています。

おそらく、多いのがモーツァルトとシューベルト。あとはドヴォルザーク、ブラームス、ラフマニノフ、サンサーンス、ラヴェルあたりが有名でしょうか。

タール&グロートホイゼンは1987年にCDデヴューした、常設のピアノデュオですが、CDはSONYから出ているものの、あまりSONYが宣伝してくれないのかあまり知られていません。

しかし、二人で演奏する制約をとことん研究して、新しい感覚でかなり突っ込んだ演奏をすることで有名だそうで、 好きな人にはたまらないチームだそうです。

2002年に3セットに分かれて順次制作してきたシューベルトのアルバムのボックスが発売されていました。最近、ケースのセンスにも惹かれてたまたま目にとまったものですから、手に入れました。

正直言ってそれほど期待していなかったのですが、聴いてびっくり。普通のピアノ独奏よりも音の厚みが出るのは当然ですが、二人で演奏しているとは思えないくらい二人の指の運びがぴったりです。

ラベック姉妹なども常設デュオとして有名ですが、こちらは演奏者が二人いることを楽しむ演奏で、むしろお互いが相手を牽制しているようなところがあると思います。

タール&グロートホイゼンはお互いが一体となって、強力な音の壁を作って聴く者にせまってくるようです。演奏の流れも自然で、違和感がありません。シューベルトの美しい音の連鎖が途切れることなく、伝わってくるところはなかなかたいしたものじゃありませんか。

アルゲリッチは最初は独奏をよく行っていましたが、しだいにピアノ連弾ものが多くなりましたが、ピアニストの真の楽しみの一つが連弾にあることの実証なのかもしれませんね。