2010年9月2日木曜日

印象派

18世紀後半にフランスを中心にした絵画の流行が印象派。世界の名画みたいな話になると、たいていこのあたりが取り上げられて、特に美術に興味が無い人でも知っている絵がやまほどあるところ。

印象派は絵のテーマがはっきりしているのですが、絵そのものは見たままにそっくり書くようなことはないわけで、画家の感性が表にどばーっと出てくるのが面白いんでしょうね。ルノワール、セザンヌ、ドガ、モネ、マネとかは有名。

クラシックでも、同じ時代の作曲家へも影響がひろがってドビッシー、ラベルなどが代表的。音楽の場合はその抽象的な雰囲気が、好き嫌いを分けるところかもしれません。正直言って、自分はやや苦手。

絵の話に戻すと、印象派の中でも一番有名かもしれないルノワールはあまり好きではありません。雰囲気が抽象的で、なんとなくぼやっとした絵に感じます。本当に絵がわかる人は、そんなことは考えないんでしょうね。

この辺が文系と理系の違いかもしれません。どうも理系人間・・・一応医者は文系もどきの理系だと思うんですがね・・・は、1+1がちゃんと2になって、なんで2になるかの理由がはっきりと示されないと気持ち悪い。

その中でも、マネは比較的絵がはっきりしていて嫌いではありません。「笛を吹く少年」とか
「ベルト・モリゾ」とかけっこう見たことがある絵も多い。

その中で、特にお気に入りが「フォリー・ベルジェールのバー」という作品。バーのカウンターの向こうにいる女性。その後ろに鏡になっていて、絵を見ている側に広がっている喧騒の空間が映し出されている。


キャンバスの中の切り取られた世界に孤独感というか、なんともいえない静けさが漂っているわけです。でも女性はシルクハットをかぶった紳士と向き合っているのが鏡でわかります。何を話しているのでしょうか。

さらに面白いのは、この紳士の位置。どう見ても合理的な場所ではないでしょう。この紳士は絵を見ている自分なんでしょうか。女性が正面を見ているわけですから、本来紳士は女性とかさなっているはずです。

そんな構図の単純なミスをするわけはなく、マネはかなり意図的な理由をもって配置しているはず。なんでしょうかね。この不思議さが「印象派」ということなんでしょうか。

そういう絵との対話ができるようなものが、絵画が名作として評価されるポイントなのかもしれません。