古代エジプトに本格的に興味を持ったのは、栗本薫が当時まだまじめな早稲田の先生だった吉村作治と対談形式でピラミッドの謎をいろいろ解説していく本でした。1987年に発行されたもので、朝日出版社のLECTURE BOOKシリーズの中の一冊。
医者になって間もなくの頃で、たぶん医学書以外によけいな本なんて読んでいる暇なんてなかったはずなのに、どういうきっかけで買ったんでしょうか。まったく思い出せませんが、なぜか今でもだいぶボロボロになってもとってあるんです。
二人の軽妙な語り口が大変読みやすく、もう古代エジプトに病みつきになった気分で何度も読み返しました。なにしろヴィジュアル的にも、きれいな写真が満載で対談の内容が視覚的にも理解しやすい。
こどもの頃は、ミイラとかスフィンクス、ピラミッドなどの断片的なものが、たいてい怪奇物みたいな扱いで漫画やテレビで紹介され、その代表がツタンカーメンの呪いだったりしました。
もう少しまともに興味を持ったのは、日本テレビが(今から思えば吉村作治を中心に)ピラミッド建設実験を行ったスペシャル番組だったと思います。このこともこの本の中に詳しく触れてあるのですが、なんと1978年のことだったんですね。
そんなことがあって、何気なくこの本を購入したのかもしれません。そして、この本を読んでもっと歴史の中の深い意味合いの一端が解き明かされ、いつかはエジプトに行って見たいものだと思うようになったのです。その後も吉村作治のいくつかの著作を中心に、古代エジプトについての知識を深めたつもりです。
ゆっくりエジプトを探訪するなんて大学を辞めて開業するまでの間くらいしかないだろうと思っていましたが、実際は準備でそれどころではないし、そもそも大学辞めて無職でそんなお金を使うわけにもいきません。
そうなると、後は医者を引退するときということでしょうが、開業医には定年は原則ありませんから、そんなことはいつのことになるのやら。しかし、死ぬまでに一度はクフ王の大ピラミッドの大回廊を直接上ってみたいものだと思っているのでした。